[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード(2003/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
あるいは、アンチ・ジブリの旗印として・・・。
今回はオールキャスト総出演ってな感じで、「笑い」の部分が大きかった。春日部→熱海の道のりは、ちょっとしたロードムービーだし、途中からみさえさんが乗ってた乗り物は、ハリウッドのスパイムービー『エージェント・コーディー・バンクス』が日本で公開される前に、日本デビューさせてしまった。しんちゃんが自転車で熱海に突っ込むまでは、すごくいい流れだった。
熱海に到着してからの、堂ヶ島と天城さんの関係は意味不明だったし、ボスとの戦いは、がっかりしたのは正直なところだが、冒頭で述べた「過大な期待」をしなければ、まずまずだったと思うかもしれない。
おもうに、前2作の感動物の評判が良かった路線から、あえて監督を代えてまで、「おバカ路線」に戻したのは、製作サイドの本来の目指すところは「そっち」なんだろうと言う事だが、今作を見終わった後、もう一度「戦国大合戦」をビデオで見返してみると、やっぱりもったいないなぁ、と思ってしまう。
そこで、また妄想。勝手に『プロキオン版ヤキニクロード』の結末、大披露。チョー長い作品となっておりますので、興味のある方だけどうぞ。
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・・・・・・風間君にかりた自転車で熱海市に入ったしんのすけ。しかし大勢の競輪選手を引き連れた天城さんの追跡が。「いったいオラたちが何をしたんだってばぁ。オラたち、今夜はみんなでヤキニクのはずだったんだぞぉ。チョー高級カルビなんだぞぉ」、「フン、いい気なものね。何が家族で焼肉よ!馬鹿馬鹿しい!」、「ベージュのパンツのおねぇさんには、一緒に晩御飯たべる家族はいないのぉ?」、「・・・、うっ、うるさい!待ちなさい!」
天城の追跡を振り切り、熱海の海岸に突入するしんのしけ。突っ込んでくるしんちゃんを、ひろしとみさえがナイスキャッチ。ようやく家族が全員揃い、感動の再会。「もう、離れないぞ!早く帰って、みんなでヤキニク食うんだ!」、「何なの、こいつら。さっきからベタベタして、まったくヘドが出そうだわ!」、「家族が仲いいの、あたりまえでしょ!」、「うそよ!、家族なんて、上っ面の関係だけで、みんな自分のことしか考えていないのよ!」、「天城っ!」「だって、そうでしょ・・・」、「ベージュのおねぇちゃん、ひとりぽっちなのぉ?」、「!」、「そりゃ、とーちゃん足臭いし、かーちゃんお尻大きいけど、オラ大好きだぞぉ。ひまもシロも大好きだぞぉ。んでもって、みんなで晩御飯食べてるときが、いちばん楽しいんだぞぉ。おねぇちゃんは、そうは思わないのぉ?」、・・・・・・しんのすけの言葉に、思わず泣き崩れる天城。そんな天城をいたわるように、堂ヶ島がささやく。「彼らに託してみよう、この熱海の命運を。彼らならきっと大丈夫だ。」「・・・・・・うん。」
堂ヶ島はしんのすけたちに話しかけた。「君たちには大変迷惑をかけた。あそこにケーブルカーが見えるだろ。あの上にボスがいる。そこへ行ってあるものを壊してほしいんだ。」、「あるものって?」、「行けばわかる。そうすればきっとウチに帰れる」、「ホントか?」、「あぁ。本当は私たちが壊したかったが、君たちにしかできない。お願いだ!この熱海のために・・・」、「本当に帰れるんだな!、わかった。こうなりゃ、何でもやってやろうじゃないか。みんないいか?」「えぇ」「うん」「フワァ(ひまわりの返事)」「ワンッ」。
こうして野原一家はケーブルに乗り込んだ。残されたスイートボーイズのメンバーたちは、そそくさと解散してゆく。そこに一台の車が。「おとーちゃん、帰るわよ!」「おおっ!。んじゃ、堂ヶ島さんも、天城さんも、さようなら」。そういって下田は帰宅の途についた。残される天城と堂ヶ島。日は沈み、海岸にも夜のとばりが降りてくる。聞こえるのはさざなみの音だけ。しばらく無言の時が流れた。「・・・今日、母さんの命日って知ってた?」「あぁ。忘れるわけがないだろ」。「・・・あとで晩ごはん、一緒に食べない?」「そうだな。たった一人の姪の頼みなら、断るわけにはいかない」。「・・・・・・お父さんも誘ってもいい?」「・・・あぁ。無事に事が終わればな」「・・・」
一方、野原一家を乗せたケーブルは終点に到着。そしてそこにはヒゲ面の胡散臭い男が・・・。「いやぁ、君たち。待ちくたびれたよ」、「誰だ!おまえは?」、「わしはスイートボーイズのボスであり、このホテルのオーナーだ。いや、だったというべきかな。ここは昔はホテルだったが、いまではつぶれて誰も訪れるものがおらん。このギリシャ風呂だって、わし専用になっている」。「うわぁ、ココ全部大理石よ。高そう〜」、「いったい俺たちに何の用なんだ!」。「君たちもここにくる途中見たと思うが、この熱海もかつての賑わいは無くなってしまった。人々は減り、ホテルはつぶれ、リゾートマンションが立ち並び、それさえも廃れてしまった。かつて熱海といえば旅行の代名詞であったのに、やれ人々はハワイだの、ヨーロッパだの、遠くのほうばかりに目がいって、熱海のことなど忘れてしまっているのだ。だから、わしは科学者に命令して、あの機械を作ったのだ」といって指差す向こうには鉄の扉が。「あの扉の向こうにある機械を使えば、再び熱海に人々が戻ってくるのだ」。「それっていったい何なの?」、「名づけて<ヌード君>」、「ヌード??」「そう、ヌードだ。その機械を使えば、たちまち熱海の人々の着ている服は消え、熱海はヌーディスト村に、熱海海岸はヌーディスト・ビーチとなるのだ。そうすれば日本各地、いや世界各地から人々が殺到し、熱海は再び活気を取り戻すはずだ!」、「ヌ、ヌーディスト・ビーチ・・・」。ひろしとしんのすけが何やら妄想を思い浮かべる・・・、みさえとひまわりの冷たい視線・・・。「で、でも熱海はファミリーで楽しめる観光地なんだから、そんなことしたら、かえって誰も来なくなるんじゃないの?」、「いや、そんなことはない。きっと成功するはずだ!。それなのにこのバカ科学者が、あの扉を開けるパスワードを勝手に書き換えてしまったのだ」。「パスワード?」と、そのとたん、黒づくめの男たちがあらわれ、4人と一匹に怪しいコードが接続された帽子をかぶせた。
「何をするんだ!離せ!」、「君たちにはパスワードを思い出してもらう。このバカが君たちの家に行った時に、君たちが強く頭に思い浮かべていたものを読み取り、再入力してしまったのだ」。「あの時強く思い浮かべていたもの・・・・・・、!、あっ、<ヤキニク>だ!」と、みんなの心がひとつになった瞬間、扉のランプが点灯し、ギィィィっと音を立てて開いた。「やった!開いたぞ!これでわしの夢が叶う!」、「今だっ!しんのすけ!」「おぅ、とーちゃん」と、しんちゃんがさっと逃げ出す。「追え!追うのだ!」と叫ぶボス。しかしチョコマカと追っ手からすり抜けるしんのすけ。その隙にひろしたちも逃げ出す。みさえは卓球のタマを打ちまくり、男たちをなぎ倒し。シロとひまわりもタマをばら撒き、男たちは足をとられ転倒。すかさずボスは扉の中へ入ろうとする。そこへひろしが卓球台を持ってきた。上にはしんのすけ。「野原一家、突っ撃ぃぃぃ!」と、機械に向けて卓球台ごと突っ込んでくる。しかしボスの指がボタンに伸びる。ポチッ。と、そのとたん、まずは部屋の中のボスとしんのすけとひろしの服が消え、全裸になる。黒服の男たちの服も次々に消え、みさえの服が消えかかったその瞬間、しんのすけのフライング・ボディーアタックがボスに炸裂。ボスはふっとび、そのまま卓球台が機械を破壊した。そしてボスの野望は砕け散ったのだった・・・・・・って、あれ?ひろしとしんのすけたちの服は戻らないぞ!どうしよう。
すべては終わった。卓球のラケットで股間を隠すひろしは、なんとか浴衣を着ることができた。しんちゃんの分もあった。ギリシャ風呂の横では、男たちが浴衣を取り合っている。「・・・帰ろう、春日部へ」。そこへケーブルに乗ってやってきた堂ヶ島と天城が。「いろいろお世話をかけました。おかげで私の好きな熱海が戻ります。ありがとう」、「いやぁ、かーちゃんのでかいケツと違って、おねぇちゃんのヌードなら、オラ大歓迎だぞぉ」、「こ〜らぁぁぁぁ、しんのしけ!!(グリグリ)」。「これは、新幹線の切符です。あと、これは熱海名物の<アジのヒラキ>です。今朝、お宅のうちに行った時、あまりにも朝食が貧しかったから・・・。家族揃っての夕食も大事だが、朝食を粗末にしては一日が始まらないですよ」。「はぁ・・・」と絶句のみさえ。「おねぇちゃんの持ってる袋も、オラたちへのお土産なのぉ?」「これ?ゴメンね。これは<私たちの家族の晩ごはん>なの」、「晩ごはん!そうだ、オラぁハラペコだぞぉ。早く帰ってみんなでヤキニクだぁ!」「そうだな!」
しんのすけたちを見送り、天城はあの扉の中へ。後ろには堂ヶ島。全裸でぶっ倒れているヒゲ面のボスにそっと浴衣をかけ、ささやいた。「・・・・・・お父さん、一緒にご飯食べよう。・・・そして、また一からやり直そう。がんばれば何とかなるよ・・・、あの頃みたいに・・・・・・」。
そして野原一家は、熱海駅。めざすは春日部の我が家。栄光のヤキニクロードの向こうで、冷蔵庫の中のお肉たちがみんなの帰りを待っている。きっと今日の晩ごはんは、今まで食べたどのごはんよりも、おいしいに違いない。だって、家族みんなが一緒なのが、こんなにもうれしかった一日だから・・・・・・。
「あのぉ、新幹線にペットを持ち込むのは困るんですが・・・」。・・・ヤキニクロードはまだまだ遠い。
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・・・・・・すいません。長々とくだらない妄想にお付き合いいただいた方、ありがとうございます。皆様がご満足できる代物ではないかもしれませんが、欲求不満だった自分の心は、ちょっとだけ晴れました(自己満足です)。
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