[コメント] ボウリング・フォー・コロンバイン(2002/カナダ=米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ドキュメンタリー映画なのだが、作りが非常に凝っているし、ドラマとしての盛り上げもしっかりあるので、かなり面白い。本来目を背けてはならない重要な所をしっかり捉えているし、インタビュアーを務める監督自身の言葉にユーモアがあって、飽きさせない。アカデミー好きのする題材だろう。アカデミーが目の敵にするようなマット=ストーンによる『サウスパーク』風のアニメが挿入されているのは監督の確信犯的な演出だと思う。マリリン=マンソン(この人の歌は正直嫌いだが)やチャールトン=ヘストン(言うまでもなく名優。しかし、彼は全米ライフル協会の会長でもある)とのインタビューなど内容も盛りだくさん。
大きな問題を見てみると、世界中で起こっている大きな紛争の大部分(否、全てがと言っても良い)はアメリカという国が引き起こしているものだ。先日進攻が終わったイラクのフセインに対しても、イラン・イラク戦争時にイランの牽制のために多量の武器供与を行ったのだし(湾岸戦争時で自分たちが与えた武器で自分たちが攻撃されるという皮肉な結果を生んだが)、ビン・ラディンに至っては、中東諸国の反共のため、テロリストとして養成したと言う経緯がある。『ブラックホーク・ダウン』の舞台ソマリアとか、挙げる気になればいくらでも出てくる。世界平和を守ると豪語しているアメリカは世界に次々に戦争を起こしている(大局的に見るなら、アメリカが関与してなければ、もっと増えていると言う考え方もあるんだけど)
一方国内問題に話が移ると、正直、怖いと思った。
統計を取ったところ、世界で突出してアメリカという国が銃による犯罪が多いと言うこともあるけど(世界的に見て、他の国と較べ数十倍〜百倍も銃による殺人が多いとのこと)、一番薄らざむく感じたのは、マスコミというのは、何事も出来事を派手に、危機感を煽るように報道すると言うこと。それによって精神的均衡を失わせることも充分あり得るんだな。
誤解して欲しくないのだが、これは映画の中で繰り返し流していたテレビニュースの事だけじゃない。この映画そのものも、全く逆のベクトルで危機感をあおり立ててるのは違いないんだから。
ニュースやドキュメンタリーというのも、作り手によってどのようにも作られ得るもんなんだな。良い勉強になったよ。
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