歴史のヒーローとして描かれる始皇帝と刺客たち。それはやはり古き良き時代劇の構図で、日本の時代劇のようにチャチな感じを全く与えず描き切ったこの作品は娯楽作として素晴らしい出来なのではないかと思った。

『羅生門』や『切腹』を思い出させるような作りにもなっていて、大勢の家来たちの合唱はギリシア悲劇のコロスのよう。そういった面からも楽しめた。

一つ難を言うなら、短いということと、そのために人間を描くということをあまりしていなかったということ。役者も豪華だし、アクションに頼らなくとも出来ることは多かったのではないかと思うと少し残念な気がした。