所謂普通の「アクション映画」では全くなくて、昔語りで聞いた「英雄」や、挿絵でしか見たことのない世界、を目の前に具現化し「動く絵」として創造するということが主眼の映画であった、と私は思う。そうでなくてはタイトルを「ＨＥＲＯ」としてつけた意味が解らない。「無名」が水滴の壁を突き破りながら「長空」に剣を突き刺すくだりをスローモーションで見せたシーン。水の入った器を空中に放り上げ、落ちてくるまでに回りにある書物のひもを全て切って見せるシーン。 「残剣」との湖でのバレエ等々。映画史に残るであろう事は間違いない。 監督チャン・イーモウの思いは見事に結実し、スクリーンからひしひしと伝わってきた。