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[コメント] 8 Mile(2002/米=独)

生まれつき才能を持ったヘタレラッパーが、いかにしてやる気を出すかだけを2時間描いている。そのため話が薄いといえば薄いんだけど、「空気」の描き方が凄く上手なのでその「薄さ」が「わかりやすさ」として中々のパンチ力となっている。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







話の最初っから「こいつはラップを唄わせたらスゴいんだぜ」で始まってるからね。バニーが最初から本気を出せてればこの話は終わってる。

登場人物の描写もあまり深くない。絶対善の3-1-3に絶対悪のFree World。それ以外の人は善でも悪でもなく、大した葛藤もないままやりたいようにやってる。

ちょっとでも気を抜けば大駄作に陥っていたであろうこの映画が、そのクセ何故か面白いのは、何よりまずデトロイドの緊張感を上手く伝えてくれているところにあるんじゃないかと思います。手ブレのカメラワークやスラムのような街並など、この映画には常にどこかが緊張してるんです。パトカーに追われるシーンや廃虚が炎上するシーンもそう。プレス工場っていうのも観てる人は緊張するんですよね。いろんなアクション映画の観過ぎなのか、「よそ見して挟まれんなよ!」とか思っちゃって。

これら常に客のお尻の座りを悪くさせるような映画の作りが、そのまま治安の悪いドン底の街に暮らす人々の緊張感や焦燥感、無力感をリアルに感じさせてくれているんじゃないかと思うわけです。背景がしっかりしてるから、多少登場人物が薄っぺらでも耐えきれる。何よりエミネム格好良いしね。

また、音楽に説得力がなければいけない音楽映画としては、今回のバトルはとても良かった。英語のわからない僕でさえ「あぁ、これはバニーの勝ちだな」とちゃんと納得させてくれました。これってけっこう大変なことだよね。

というわけで何だかんだと文句をたれつつも、料金の価値はある映画だったなぁと思うわけなんですが、黒人が一所懸命育てに育てた文化でも、それを使ってトップスターに登る(全アメリカ的に支持されるようになる)のはやっぱり白人なんだなぁなどと、ちょっとだけ思いました。あ、エミネムの主義主張とは全く別の部分でのお話としてね。

(評価:★4)

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