[コメント] 夜を賭けて(2002/日=韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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朝鮮人迫害までの過程を描いた映画。
朝鮮問題で揺れる現代の中で悪く言われがちな朝鮮人に対する人種差別を痛烈に批判していて、今現在日本は朝鮮に対して問題を抱えているが実際問題、その問題に朝鮮に住んでいる朝鮮人には責任があるのかどうかを問われる映画でラストで朝鮮人が多く暮らす集落に警察が入り込み大勢の朝鮮人を逮捕するシーンはインパクトがあった。
確かに朝鮮問題に揺れる現在の日本からすれば非常に良いテーマなのだが、そのラストまでの展開がはたしてラストに生かしきれていたのかどうか言うと正直まったく生かされていなかったとしか言いようがなくせっかくのラストもあまり感動にいたらなかった。
特にこの映画の難点が前半の朝鮮人たちがスクラップを拾いに廃止になった工場に向かうシーンで、キャラ設定の問題もあるが、いくら脚色とはいえ役者達のふざけすぎとはしゃぎすぎの演技が映画の雰囲気をかなり悪くしている印証を受ける。ラストの朝鮮人迫害シーンは前半のスクラップ収穫シーンも多少絡んでいるのでもう少し緊迫感があってもよかった気がする。
また中盤主人公の友人が現れるのだがこの二人の間に過去に何があったのかまた、友人はなぜまた集落にやってきたのかなどが全く説明されずあっさり死んでしまうので何のための演出だったのかと思ってしまう。少なくともこのシーンの後で朝鮮人迫害につなげるのはいくらなんでも唐突すぎ。
またこの映画の監督は緊迫した状況でも笑いをとろうとするので返ってそれが裏目に出てしまい、ラストに関しては台無し。集落にすむ朝鮮人たちの苦労をかなり覆い隠してしまっている。前半のシーンは下ネタギャクなどの連続でそこそこ笑えるが映画の雰囲気からしてそれほど合う物ではなくあまり意味がない気がする。
それとラストで主人公が恋人を地下室に隠すのだがもし火の手が回って出られなくなったら煙が回って死んでしまうかもしれないのになぜかそこに隠すのも分けがわからない。
2時間以上の上映時間にもかかわらず殆んど必要なシーンがないのも不満。前半の喧嘩シーンをもう少し削ってでもラストに繋がるような展開を見せて欲しかった。
この映画は原作を読んでいる出ない限り、ラスト展開に怒りを感じてしまうかもしれない。
せっかくテーマとしては文句なしに良い映画なのに、監督の構成能力のなさのせいでかなり見劣りの感じる映画になってしまった。
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