[コメント] キル・ビル(2003/米=日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ザ・ブライド(ユマ・サーマン)! 4年間寝てて、復讐するためのトレーニングが足の親指回しだけって? オメーは何者だー! いくらなんでも強すぎないか!!!
と、思っていたら、相手が5人で、黄色いウェアに黒ライン、頭を撃たれて復讐ときら、ブルース・リーを思い出さずにいられない。つまり、ザ・ブライドは、ブルース・リーぐらい強い殺し屋だったが、足を洗おうとして失敗したという暗黙の初期設定があったのでしょう(本当か?)。
さて、本作の見せ場の殺陣ですが、侍の"魂"である日本刀を使う割には、動的視覚に頼りすぎてるなぁー と思っていたところで暗闇のシルエット対決。これは凄い!と緊迫感が高まる。更に雪庭でのオーレン・イシイとの対決・・・。ザ・ブライドの背景に母屋(オレンジ)、オーレン・イシイの背景に雪(白)を重ねる映像に息を飲む。そしてあっという間のエンディング。見事でした。
ただ、全体を振り返ってみると、盛り上がり所が後半に偏りすぎていたとの感がどうしても残る。冒頭のバニータ・グリーン(ビビカ・A・フォックス)との対決なんて、オーレンとの対決と比べると、キッチンで包丁とナイフを使って料理と、あっさりしたもんだったし・・・。これも後半に山をつくる作戦かな〜。
にしても、時間軸を交差させた本作にとって、バニータを倒した時点で、オーレン・イシイがこの世にいないことを例のリストで示したのはマイナスだったと思う。何故なら、それは次作と本作を一本の作品としてみた場合、先の展開を示唆することへの制約を意味しており、その制約が時間のつながりをぶっつりと切っていることにもなるのだから(流石に本作で次作のネタバレはできまい)。この意味でタランティーノ監督の得意とする時系列操作が裏目に出た気がする(※もし、複数にまたがる作品を時系列操作できたらそれはそれで凄いことだ)。
あと、本作の真の主人公ともいえる日本刀、個人的には極道のオーレン・イシイ(ルーシー・リュー)と対決する為だけのアイテムであってほしい。というか、私個人は、ザ・ブライドの次作の得物は変わるに違いないと予想している。何たってブルース・リーも闘う状況で得物を変えるほど得物にこだわり大の人でしたから・・・。
おっと、もう一つ余談。マラソンツアーでベルリンに行き、本作のドイツ版予告編を観たときのこと、ほぼ映し出されるシーンは日本版と同じで、音声が異なりました。驚いた点は、あちらの予告編では、日本版にはなかったルーシーの「ヤ・ッ・チ・マ・イ・ナ」という言葉がはっきりと出ていた点です。そうか、ルーシーは日本語を話すのかー、そりゃー極道だもんなーと、思いましたし、海外で予期せぬ日本語を聞くというのも嬉しいものだと思いました。良かれ悪かれ蓋を開けてのお楽しみとして、観客に秘密を残しておいてくれた日本の配給会社or予告編製作会社の配慮に感謝しました。
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