[コメント] ミスティック・リバー(2003/米)
さすが全米で絶賛されただけあって、ものすごく濃度の高い、洗練された傑作でした。脚本良し、演技良し、そしてこれまでイーストウッドが監督として培ってきたもの全てを注ぎ込んだ演出。完璧だと思います。
私は最後までひりひりとした緊張感のなかで、ボディーブローを受け続けた気がします。正直、映画が終わったあと、いろいろともやもやした感情を残しつつ、ホッとしちゃいました。面白い映画を観て、もう終わっちゃうのか、と思うことは多々あっても、安堵してしまったのは今回が初めてではなかろうか。
ストーリーについては、個人的に思うことがいろいろあり、かなりきつかったです。一人娘を失う父親の心情、というのはこれまでもいろいろな映画で描かれてきたと思うので、そこまで珍しいものじゃないかもしれませんが、そこに幼馴染という関係と過去の重いトラウマが絡み合って、私は切なくなりました。
そして、この映画の完成度をここまで高めたのは、やはりキャスティングの妙が大きいでしょうね。ショーン・ペンは相変わらず上手いしケビン・ベーコン・ローレンス・フィッシュバーンの刑事コンビもなかなか渋い雰囲気を出していて良かったのですが、今作はなんといってもティム・ロビンスの自然体演技が嵌りすぎていて恐いくらいでした。この人は、一見何を考えているのかわからない役が、すごく上手い(というか、もともとそういう顔をしている?)と思います。今年のオスカーは、渡辺謙が助演男優賞を獲れるかというのが一つ話題になりそうですが(まだノミネートが発表されてないけど)、私だったらティム・ロビンスの票を投じるなぁ。
地味だし、ストーリーもかなり重たいので、少々観る人を選ぶ作品かもしれませんが、「人間ドラマ」というジャンルが好きな人は必見だと思います。
まだ今年になって片手で足りるくらいしか映画をみてませんが、はやくも2004年のBESTムービーの予感。言い過ぎかなぁ。。
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