[コメント] 大悪党(1968/日)
ギョッとするような話なのだが、不思議に陰惨さがない。皆、頼もしく見える。ついニヤリとしてしまう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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警察の官僚体質、自白偏重、現場捜査の不徹底という今に通じる盲点を突き、詰めは“一事不再理”。現代でも充分に成立する法審理ドラマだ、という側面が一つ。
もう一つは、45年前の映画だが、登場人物の人情が今とだいぶ違う。むしろ情が薄い。信州から出てきた母は、娘の不品行をなじると、絶縁を言い渡して去って行く。娘の心情を慮って、立場をかばってやるなんてことは、まるでしない。最後に「達者でね」と言い残していくところに、わずかに人情が表れるが、圧倒的に不足だ。みのもんたが親だったら、絶対こんなことはしないだろう。
それでもなぜか、“人間”に見える。“人間同士”に見える。キャラクターの設計や役者の演技に誇張や省略はあるだろうが、全体として、過不足がない。だから、映画になるのだ。
残念ながら、今のオレオレ詐欺や、ストーカー殺人、無差別連続殺人といった犯罪が、映画になりそうな気は、あまりしない。
80/100(13/10/26)
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