[コメント] 鶴八鶴次郎(1938/日)
通俗と崇高の差は紙一重であり、物語の中に真の悲劇と喜劇を同時進行で成立さることが可能なことを成瀬は証明している。しかし、これはただごとではないのだが。終幕、向き合った鶴次郎(長谷川一夫)と佐平(藤原釜足)の表情は感情を越えている。
長谷川一夫のあどけなさなが残る天才芸人ぶりと、山田五十鈴の凛とした愛らしさ(若いころは大原麗子さんに似てたんですね)だけでも充分に娯楽として楽しめるのに、この作品にはさらに成瀬巳喜男の物語を映像化する神業的造詣力が加わり大衆映画の頂点の域へと達している。比類なき娯楽映画の傑作。
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