コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ソラリス(2002/米)

ソダーバーグの、アメリカのソラリス。(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







惑星ソラリス』のでの乗組員の争いは、抽象的な人間存在に関する論議(先に観念ありき)であったのに対し、本作での争いはどちらかというと個別・具体的な各自のバックグラウンドをもとにした意地のぶつかり合いであった。おそらくは不倫の関係にあった(彼女の「客」はジバリアンだったのか?)ゴードンは、後ろめたさゆえに主人公ケルヴィンのように自己の内面に沈みこむ決断をとることができなかったのだろう。それぞれの抱える事情が、それぞれの道を選ばせていく。それはそれで『惑星ソラリス』とは違った魅力があった。

あのラストは、いかにもハリウッド作品のごとく、愛を高らかに謳いあげ閉じたようにも読めるが、その実ソダーバーグが過去の作品で追求していたユートピア的な世界観を反映しているようにも見える。

もともと原作があるものだからある程度は仕方ないのかもしれないが、もっと『惑星ソラリス』とは趣きの異なる大胆な解釈をしてほしいとは思った。不安定な精神状態を今の時代的に表現した結果があの「ちぇけらっちょ」男(←確かに当時のソ連にはいない人だろう)ではなんとも物足りない。これだけ魅力に富んでいて、かつ多様な解釈が可能な設定なのだから、他の監督版でまたソラリスをリメイクしてほしい。

*『惑星ソラリス』にしろ本作にしろ、主人公が人間くさくはあっても、とても科学者に見えないのは一つのお約束みたいなものなのだろうか。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)セント[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。