[コメント] OUT(2002/日)
全てが中途半端になってるのは、演出のせいだろう。題材の面白さが台無し。(041103)
よく聞いてると、笑えるセリフが結構多い。非現実的な状況におかれた者が、日常の価値観でつい意見を述べる、そんな面白さが、前半の解体部分にはふんだんにあった。弁当作りパートのおばちゃんが、同様の流れ作業で人体解体をする、という設定自体、そんな面白さだ。なので、コメディ的な展開を期待していた。
しかし、その面白さを放置したまま、途中からシリアスな展開に変わっていく。いや、改めて考えれば、もともとシリアスな題材なのかもしれない。しかし、シリアスとはいえ、鍵を握る役が間寛平なところがシリアスにも徹していないようで・・・。寛平自体は満足の演技なんだけど。そう、セリフも役者も、どこを見ても、それ程問題があるとは思えないのが、逆に問題なのだ。個性がまるで発揮されていない。つまりは、監督自身に面白さを映画で表現する力量が無いのだろうと思う。全く平板な作品となり、題材が台無しになってしまった。
コメディにもシリアスにもどちらにも転がれる面白い題材だったので、脚本家はコメディ方向に捉えたのではないかと思うのだ。例えば、恐怖と笑いが凝縮された森田芳光の『黒い家』だ。原作を読んでいないので元がどういうスタンスの小説だったのかわからないし、脚本家と監督とで作品に対するイメージの差はあったのかもしれないが、監督自身がどういう作品にするのか全く考えていないような感じの作品である。
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