コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] まぼろし(2001/仏)

シャーロット・ランプリングの演技は素晴らしい。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夫が行方不明になり、突然出きた空虚な生活を必死で埋めようとする女性の人間ドラマ。

夫が失踪してから、夫のいない空虚な生活を必死で追い隠そうとする中年女性の哀愁を淡々と描いている。

この映画のポイントは、結婚生活が長く、会話がなくてもコミュニケーションがある程度とれる絆を築いた夫婦愛を観ている側がどの程度理解できるかで決まってくると思う。

マリーが講習している大学で夫の捜索を手伝ったと言う学生が話しかけたときに顔を見て、会ったことはないと言ったり、最後で夫と視られる遺体が上がるが、マリーが夫じゃないと否定するところは彼女が夫の死を認めてしまうことで、それまで築いてきた夫との深い絆や愛が一瞬にして奪われてしまうという現実を受け入れたくない彼女の現実逃避として描かれているのだが、この映画のテーマは既婚者か結婚の経験がある人でなければ、ストーリーは理解できても、それ以上の感動がなかなか出てこないという印象が正直なところ強い。

もっと、汚い手を使ってもいいので、夫が失踪する前にこの夫婦の愛情の深さを感じさせる描写が欲しかったところ。

ただ、マリー役シャーロット・ランプリングは夫を失うことへの喪失感を受け付けまいとする中年女性の悲しさを巧みに表現していて、悲しみを必死に隠して夫の捜索の連絡を待つ間にやり過ごす感情を抑えた演技はなかなか素晴らしかった。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)リア

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。