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★3 | 地獄でなぜ悪い(2013/日) | 奔放に見えるのはポーズで、タランティーノ的(深作的なのかは知らない)映画的倫理観に関する評を映画化したような、頭でっかち感がある。この点割と知ってる話で、いい加減で出来レースな展開も醒める。が、地獄を天国にすり替える『堕落論』好きが丸見えの監督のスタンスはやはり好き。血の海で歌って踊って啖呵を切る少女を、狂気や虚無として描いていない。あと主題歌。 [review] | たろ, ロープブレーク, 水那岐, おーい粗茶ほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016/米) | 「ところで、ジェダイが主導するSWって、実はつまらないと思わないかね?」byギャレス・エドワーズ(想像)
無名の「ならず者」が織り成すSW。敵が圧倒的に強くないと燃えないじゃないですか。綺麗事だけじゃないはずじゃないですか。当事者は仲良し優等生だけですか。そもそも戦争じゃないですか。死に痛みはないんですか。他所では佳作程度の映画かもしれないが、SWという枠組でコレをやる意気に加点。 [review] | まー, disjunctive, Orpheus, てれぐのしすほか7 名 | [投票(7)] |
★3 | イコライザー(2014/米) | 技のデパート。これが目的の映画だから仕方ない部分はあるにせよ、修道僧のような彼と、後半の多彩な処刑スタイルを興じるような彼と状況が結びつかないことに目を瞑れば楽しい。モレッツさんを持ってきただけで男のファンタジー要件が成立。つくづくおっさんキラー。これが最低限の手数という面白さ。 [review] | 3819695, けにろん | [投票(2)] |
★4 | トイ・ストーリー2(1999/米) | 世界観が1で語り尽くされている分、セツナ成分少なめで活劇指向だが、ザーグの「バズを倒せ」の連呼と例の大見得、ジェシーの愁嘆場で再び胸が張り裂けた。げにおもちゃ(人)にとって世界(映画)は牢獄であり、おもちゃ(人)はキャラクタ(アイデンティティ)と愛の奴隷である。だがそれが何だと言うのか。「制約」の中での精一杯の飛翔が、「奴隷」だからこその強度を持った活劇で語られる。これは私達のための物語である。 [review] | Orpheus, 3819695 | [投票(2)] |
★2 | ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー(2018/米) | まあ「見えている地雷」感はあるが、ロン・ハワードでL・カスダンかつハレルソン先生に加えてチューイなのだから「もしかするともしかするかも」という淡い期待を見事に打ち砕いてくれる。チューイとの軽口塗れの痛快ゴキゲン+ギャング+ポップコーン映画という夢は露と消えた。味付けスカスカで活劇・ユーモアは二流、看過できないご都合設定、と映画勘は相当に悪い。主役は負け戦感を挽回出来ず。 [review] | Orpheus, カルヤ, まー, セントほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | ボーダーライン(2015/米) | 善も、悪も、混沌のままに制度化=秩序化され、維持される。悪は善として、善は悪として。境界線上に立つものだけが、全てを知っている。国家が形骸化してなお、制度化が、カルテル側も、対するアメリカも、「家族」の論理に基づいている限り、この物語に終わりはないだろう。 [review] | jollyjoker, 週一本, けにろん | [投票(3)] |
★2 | レヴェナント:蘇えりし者(2015/米) | 奪う者は奪われ、奪われる者も奪う。自然はあるがままに与え、奪う。そのフラットな条理を描こうとしながら、結局演出上気合いが入るのは、グラスの怒りを感受して逆巻く風と樹木。あらゆる点で歪なのである。あと、監督や演者、スタッフさんを労うために映画を観るのではないのであるのに、★2をつけるとバチが当たりそうな気がするのだ。そういう作り方はやめてもらいたい。つまり、いつものイニャリトゥである。 | リア, jollyjoker, 3819695 | [投票(3)] |
★3 | 夜明け告げるルーのうた(2017/日) | 『カイバ』ファンとしては湯浅政明はこんなもんじゃないだろうという思いで終始した。「歌うたいのバラッド」も弱さの補強として安易。ウェルメイドな良さは否定しないが、既視感塗れの無難なものでなく、『カイバ』並みにハードで尖ったものが見たい。 | 水那岐 | [投票(1)] |
★4 | アトミック・ブロンド(2017/米) | 氷風呂。ウォッカのオンザロック。ワインクーラーの中の●●。クールに見せかけて燃えるように熱いというアイテムがロレインのキャラクタを説明している。そのマンガ的なあざとさを説得的にモノにしてしまうセロン女史の完璧さ。アイドル映画として十分なところブテラさんとの弩級の顔合わせで完全に鼻血案件化。 [review] | 3819695, おーい粗茶, けにろん | [投票(3)] |
★3 | ジェーン・ドウの解剖(2016/英) | 目を開けた死者と目を合わせると、何も見ていないはずの目が、何もかもを見通し、自分も何かを見透かされているようで怖い。「死体というモノ」と「ヒト」を分かつものが何か、生きている自分とは何かという命題にも否応なしに向き合わされる(私も簡単にモノに変換されるのではないかという恐怖。裏腹にモノとして扱う手つき)。大変おそろしい密室であるが、この感想は半ば私の勘違いである。たぶん。 [review] | 袋のうさぎ, けにろん | [投票(2)] |
★5 | この世界の片隅に(2016/日) | ある映画で、「風はまだ吹いているか、少年よ」と彼岸の男は問いかけ、「はい、まだ吹いています」と此岸の少年は答えた。その、吹き続ける風に乗って、たんぽぽの綿毛は居場所を見つける。喜びと、悶えるような苦しみと虚しさを抱えながら、白昼夢のような光と記憶の断片で織り成された世界で、風はやまないのだ。 [review] | おーい粗茶, 週一本, ぽんしゅう, さずほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | リアル鬼ごっこ(2015/日) | 制服、白いドレス、タンクトップ姿で蹂躙される「女性」。この取っ替え引っ替えはシチュエーション系のAVのそれであり、追尾・俯瞰・包囲するドローン撮影は、消費し搾取する野郎の視線そのものである。「スカートめくり」の幼児性が横行する「世界」は確かにシュールだ。性の寓話として底意地の悪い皮肉が貫かれ、嘘や照れのないマノエリ幼年期の儚いリリシズムと詠嘆は、ゲスの極みと対極に置かれて強度を増す。伏兵的傑作。
[review] | ロープブレーク, 煽尼采, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 隠された記憶(2005/仏=オーストリア=独=伊) | 嘘とトラウマが炙り出され、関係性の仮面を破壊される時、崩壊状態こそが「日常」となる。しかしそのささくれた自覚に立たされた上で、再び「監視」されたまま「平穏な日常」に差し戻される地獄。「視る」という暴力へのサド的快感の共有と、「視られる」ことへの「疚しさ・罪悪感」に起因する嫌悪を観る者に同時に強いる定点カメラのサディスティック。逃がすまいと観る者を絡め取るハネケの加虐趣味的シミュレーション。
[review] | 寒山拾得, Orpheus, おーい粗茶 | [投票(3)] |
★5 | シャイニング(1980/英) | 圧縮された狂気、禍々しい妖気で歪む空間を確かに捉えた最初の映画だと信ずる。「視えてない」時のほうが、より「視えそう」な感じがして怖い。絨毯と壁紙が邪悪。照明、音、グッと寄るカメラが邪悪。もろもろ邪悪。先生の美意識が炸裂する。バルトークとかリゲティとか、一番狂ってて正しいのはやっぱりあなた。先生ありがとう。余談だが・・・ [review] | ロープブレーク, たわば, きわ, ぽんしゅう | [投票(4)] |
★4 | もののけ姫(1997/日) | 封じられた「飛翔(上昇)」。世界の業苦と憎悪全てを「タタリ(重み)」として背負う生命達が、ただ生きるため、つまりは「死に喰われない」ため、互いが互いをテロリストとしてしか認識しないリアリズムのアクション。世紀末的呪詛の大放出だが、私は支持する。これに震え上がることで見える意味もある。正直だと思う。いっそ氏にはタタリ神になっていただきたい。 [review] | 緑雨, Sigenoriyuki, Orpheus, 煽尼采 | [投票(4)] |
★4 | ニューヨーク1997(1981/米) | 突然顔を出すゴージャス感(ガンエフェクト、キャスティング)と弛緩したB級真空的演出の落差が唯一無二の笑いを生む。「間」の悪さが天才的だが、批判を寄せ付けない「愛」のコク深く、最終的に漢気でつけるアウトロー的落とし前が熱い(ただし何がどうしてこうなったのかさっぱりわからない)。この「愛」を笑ってはいけないのかもしれない。ある意味卑怯。
[review] | ゑぎ, 3819695 | [投票(2)] |
★5 | イングロリアス・バスターズ(2009/米=独) | 映画に対する愛よりも、映画に徒なす者への憎しみ。転じて愛。 [review] | ロープブレーク, 若尾好き, 煽尼采, ジェリーほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | ゴッドファーザー(1972/米) | 眼窩に影を落とすライティングが非常識と当時言われたそうですが、演出の必然性を考慮せずにそんなことを言い放った方に「あなたこそ非常識です」と言ってあげたい。オープニングの完成度だけでご飯何杯でもいける。「ファミリー」という言葉を前に、善悪・聖邪は境界線を失い、ついに一つに重なりあう。その描写が極めてフラットでドライであることの凄み。その分、単純な好みとして、ニーノ・ロータはやや過剰に思う。 [review] | たろ, ALOHA, サイモン64, ナム太郎ほか7 名 | [投票(7)] |
★3 | ナイスガイズ!(2016/米) | 享楽的で猥雑で軽い70年代感は及第点。ゴズリングのヨレヨレ感は、所々で某スコセッシ作品中のディカプリオのラリリに匹敵し、70年代的胡散臭さも十分。何がどうしてうまくいったかよくわからんという味わいがジャンル的に正しく、子役が最高に可愛いが、ジョン・グッドマン化してなおクロウが三枚目に徹し切れず、やや歯切れが悪い。主演二人のダメ男が子役にどつき回される感じがより徹底してれば★4だった。 | jollyjoker, けにろん | [投票(2)] |
★4 | セトウツミ(2016/日) | 臆病な二人、「流れ」と「沈殿」の映画。オモロいというよりも切ない、ほとんど恋愛映画。他愛ないような見た目と裏腹に引き締まった会話劇の機微と相まって、交わされ、外される視線の演出がとてもスリリングだが、ここまで切なくする必要があったのかとも思う。 [review] | tredair, カルヤ, ぽんしゅう, けにろんほか5 名 | [投票(5)] |