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★5 | ザ・マスター(2012/米) | プロセシングの真贋に監督の興味はない。ポルノを扱った時と同じ優しさだ。猜疑の視線に曝されつつ「始まって(始めて)しまった人生」達の作る「家」の物語。酷薄な画の切り貼りの裏で涙を流しているように見える。『ブギーナイツ』の優しさを『時計じかけのオレンジ』から冷笑を除いた滋味と前作来の鋭い筆致が引き立てる完璧さ。「俺はもはやこう生きていくほかない、お前も生きられるように生きるしかないが、そう生きろ。」
[review] | 袋のうさぎ, Orpheus, 煽尼采, 3819695ほか5 名 | [投票(5)] |
★5 | ジャズ大名(1986/日) | 「希望」としての「馬耳東風」。留まって高まるのは音楽だけでいい。「それ以外」で去来するものは「ま、(そんなことは)どうでもいい」。この世界観に嘲笑や虚無のノイズがないという奇跡的純度に感動。心の底から笑ったし、だからこそ泣いた。最強の喜劇だと思う。 [review] | 週一本, ゑぎ, ぽんしゅう, けにろん | [投票(4)] |
★4 | そこのみにて光輝く(2013/日) | 「大事にしてっから・・・おかしくなんだべや!」という台詞が僕にとっての全て。ギリギリの線状で爪先立ちする主役3人の描写の緻密さにキリキリと胸を締め上げられるが、この彼岸の高橋和也あってこそ(グッジョブ)。夜明けの撮影が会心だが、ラストカットは僕も蛇足だと思います。 | jollyjoker, 緑雨 | [投票(2)] |
★4 | アギーレ 神の怒り(1972/独) | 下流を虚ろな目で見つめ、ぼんやり、ゆっくり、確実に死んでいく人間たちと対照的に、アギーレは流れの先ではなく、むしろギラついた目で上流を睨み続ける。帰りたい人間たちが上流へ、アギーレが下流へ意識を向けるのが自然だろうが、この逆転こそがミソ。静寂の中、「流れ」と「視線」の方向性が、「神への叛逆」を饒舌に物語る。 [review] | pori, 3819695, 週一本, 袋のうさぎほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 月に囚われた男(2009/英) | システムにとっては重なりあってはならなかった時間と時間が真実を導き出す。ボタンの掛け違いがもたらす破綻のサスペンスが繊細でこなれている。 ネタがバレてからの情感が本番という姿勢も好感度大で、悠久の残忍とヒューマンな落としどころに手塚的快感・・・というか快感以前にじんと来る。いい映画。
[review] | Orpheus, peaceful*evening, 3819695, 煽尼采 | [投票(4)] |
★4 | 希望の国(2012/日=英=香港) | 言葉も情報も意味と力を破壊されたあの時、言葉はあらゆる目的のために再構築された。希望を謳う言葉を疑い、憎みながら縋らざるを得ない弱さを抱きしめ、言葉の無力に苛まれながら、それでも園子温は「希望は嘘をつくことがあるが、絶望は嘘をつかない。希望はそこから始めなければならない」と言い切った。言葉の人としての、血を吐くような吐露と思う。万人向けの解ではない。それでいい、それがいいと思う。 [review] | ぽんしゅう, けにろん, 寒山拾得 | [投票(3)] |
★5 | オーケストラ!(2009/仏) | 歴史に踏みにじられて散り散りになってもしぶとく熱く生きる、人への、音楽への想いを束ね、爆発させる展開に涙が止まらない・・・そう、これが魂の音楽。心を引き裂かれても人は演奏したいものなんだ!神が降りてくる瞬間は必ずあるんだよ!(いち奏者としてやや感情的なレビュー) [review] | Myrath, まー | [投票(2)] |
★5 | 時をかける少女(2006/日) | それは青春のまどろみ。希望と焦り、迷い。口に出せないもどかしさ。かけがえのない三人の夏。浮かんでは消える想い。野球ボールの美しさ。そして、果てしなく高く透明な空。醒めてほしくない。でも・・・「もうそろそろ起きなよ〜」と、すべてを予感させる何気ない台詞で物語は始まる。切ねえ!巧すぎて鼻血が出そうだ! [review] | Ikkyū | [投票(1)] |
★3 | 回路(2001/日) | 「生死」という血の通った言葉を「いる」「いない」の無機的な二択に変換。ここには「血」がなく「染み」だけがある。どこに「いる」のか、どこに「いない」のか、「いる」のに「いない」、「いない」のに 「いる」、そして境界の喪失に至って現出する「永遠」という牢獄。冷血黒沢の虚無の顕れる残忍な編集、カメラ、色の枯れ果てた死相(思想)の蠱惑には抗しがたい。意識の立ち位置の混乱のみによって観る者を揺さぶる力業。
[review] | Ikkyū, 3819695 | [投票(2)] |
★3 | M★A★S★H(1970/米) | 弱い犬ほどよく吠える。現実から自衛するために装備する「狂気と無感覚」の矛先が向かうのは外か内か。いずれにしても現実(戦争)は非現実と化し、狂気によってもたらされる「正気」が錯覚的「現実」を危うい次元で繋留する。この「弱さの実験」は流石で、悪ふざけのインフレに差し挟まれる手術シーンの軽口が崖っぷちの爪先立ち感を現出するが、手の内が分かった後も終始同テンポでは息苦しく、必ずしも巧くないのが★残★念★。 [review] | 週一本, おーい粗茶, Orpheus | [投票(3)] |
★4 | フィツカラルド(1982/独) | 「映画的な瞬間」「偉業」は往々にして「神殺し」的であり、「バチ当たり」的なものと思う。理(コトワリ)に反し、「下に行くはずのものが上に行く」、そのアクションのベクトルが、ここでは「神殺し」のテーマに直結して強化される。人は「バチ当たり」を目の当たりにしたくて映画を観るのではないでしょうか。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★5 | ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013/米) | 陰惨なポルノになりそうなところ、「ハメれどもラリれども、我が×××満たされざり、凝っと×××をみる」的にウェットな実存の哀しみに溺れさせたり、憐れみの視線を送ったりしない。神の影を微塵も感じさせないこのドライな一貫性は偉いと思う。ここには罪悪というものがない。レオは史上最高値。圧倒的な軽佻浮薄と軟体動物ギャグ。破廉恥! | 3819695, ぽんしゅう, けにろん | [投票(3)] |
★2 | 続 夕陽のガンマン 地獄の決斗(1966/伊) | マカロニ弥次喜多珍道中(コント集)。「珍」と「ガチ」のバランスが悪い。キャラクタの博覧会だけでは、私は逝けません。
[review] | けにろん, Sigenoriyuki | [投票(2)] |
★4 | 巨神兵 東京に現わる(2012/日) | 綾波的亡霊的独白、質量感のない破壊、世界の薄味な実在感などの不評要素は、『シン・ゴジラ』と対をなす「破壊を現実として実感出来ない現代的東京の気分」と解釈した。終盤の爆破連打はほとんど夢の中の出来事のようだ。ダラダラと延命する世界、その「終わり」の手触りの希薄さ。成る程、これも一つの「東京」ではないかと。(渋谷から破壊されるというのが良い。) [review] | 3819695 | [投票(1)] |
★4 | クロッシング(2009/米) | 「善か、悪か」ではなく、「より善か、より悪か」。それが問題だ。"Finest"なる者は存在しない。少なくともこの世界では存在しえない。 [review] | 3819695, シーチキン | [投票(2)] |
★4 | ペイルライダー(1985/米) | 「神がやらぬのなら俺がやる」。この「奇跡」は「わざわい」のようであり、「わざわい」は「奇跡」のようでもある。神を否定し、人ならざる力をふるい、死を執行し、交わらず、振り返らず去る孤独。厳しい物語である。 [review] | 3819695, ぽんしゅう, 週一本 | [投票(3)] |
★4 | ファインディング・ドリー(2016/米) | 「直感」による危機への対処という作劇の軸はエキサイティングになりそうだがそうでもなく、前作同様に単調。というか展開が後出しじゃんけん式にならざるをえず、呆然と眺める他ないのだ。「記憶」の神秘に触れる必殺技が終盤まで炸裂しないのも痛い(「乳母車」で涙腺を破壊することくらい、本来造作もないはず)、のであるが、 [review] | プロキオン14, けにろん | [投票(2)] |
★5 | 映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム(2015/英=仏) | このところ、本家『ウォレスとグルミット』で喋らせ過ぎ感のあったアードマン、渾身の原点回帰。写真、8mmというアイテムで開幕から全力で腹筋と涙腺を壊しにかかってくるが、何より「ここにはアクションしかない」という衝撃がある。崖っ淵の攻防は『黄金狂時代』に匹敵、かつ情感まで加えて凌駕すらする。そしてアードマンの「涙」の質感はいつも僕を動揺させる。なんちゅういい映画や・・・(追伸:牧場主LOVE。) | 3819695, ナム太郎 | [投票(2)] |
★5 | インターステラー(2014/米) | マーフィーの法則=起こりうることは起こるー転じて、「起こりうることは起こす」。そのままノーランの映画製作の矜持なのだろう。作劇にも演出にもこの哲学が最大限・確信的に息づいている。キュアロンの『Gravity』もそうであったように、「重力」は軛でありながらそれを越える「意志」でもある。そしてアクションに意志が漲る。もう激しく好み。この情感がハッタリなら、僕は頭を丸めて映画を観ることをやめる。 [review] | 3819695, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★5 | ノーカントリー(2007/米) | 死神(運命)の冷酷な精度。 [review] | おーい粗茶, 緑雨, ぱーこ, worianneほか6 名 | [投票(6)] |