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★3 | ディーパンの闘い(2015/仏) | 陰鬱な『グラン・トリノ』。多彩なメタファーがスクリーンに去来し(象は福神ガネーシャ?)それらの存在は陽炎のようにはかない。すべては幻想のなかにある。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★3 | ヴィンセントが教えてくれたこと(2014/米) | とりあえずハートウォーミング・コメディの線を狙っているようだが、最終的なヴィンセントの位置づけをはっきり息子が表明するくだりは、かなりの力技であり強引かつ「これじゃない感」の横溢が感じられる。子役ジェイデン・リーベラーは好演であり、いい子に片付いてしまわないリアリティがあるだけに残念。子供の内心においてだけの偉人に抑えたほうが押しつけがましさは感じずにすんだろう。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | サウルの息子(2015/ハンガリー) | 正方形にちかい狭苦しいスクリーンに投影される、これも視野狭窄的な一個人のドラマ。サウルをひたすらに追い続けるカメラは、外側にぼやける惨たらしい光景すらも「我関せず」と見過ごして恥じない。得てして大き過ぎるスケールの惨劇に投入された者は、悪への憎悪や正義の希求ではなくこんな些事にちぢこまる方を選ぶものだ。彼の思いの深さは、それが示されたのちに十分に語られる。 [review] | プロキオン14 | [投票(1)] |
★4 | マイ・ファニー・レディ(2014/米) | 世知辛い現実社会のトレスではない、浮世離れした往年のスクリューボール・コメディ世界を称揚するボグダノヴィッチの楽天世界。ここへの寄り道も、文芸映画ファンにはやっぱり必要だ。裁かれる手前勝手な男たちへの攻撃も、なんて男にとっては痛快丸かじりな効果を与えてくれるものだろうか。 [review] | けにろん, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | そこのみにて光輝く(2013/日) | 周囲八方をきわめていびつに肥大した不幸に囚われた池脇千鶴にとっての救済は、総てを笑劇にし丸め込んでしまえる弟・菅田将暉による癒しなどではなく、畢竟、ただの透明で空虚な入れ物にすぎない綾野剛に丸く収納して貰うことでしか在り得なかったのだろう。綾野は受動的にしか動いていないし、この物語においてはむしろ池脇の存在そのものに救われる彼の印象が強いからこそ、なおさらのことだ。 [review] | 緑雨, MSRkb, けにろん, まーほか7 名 | [投票(7)] |
★2 | FOUJITA(2015/日=仏) | やはり自分の観たかったのは稀代のモダニスト画家、藤田嗣治の物語であり、小栗康平の土俗ファンタジー映画ではなかったのだ、と切歯扼腕の思いを噛みしめる。小栗の「引き受け仕事であり、藤田はもともと興味のある画家ではない」との発言がうなずかさせられる出来栄え。特に第2部の小栗節全開の展開にはアクビをかみ殺す連続だった。なお、鑑賞には予習が不可欠。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | それでも夜は明ける(2013/米) | 残酷な時代を抉るカメラの雄弁さ。それはイジョフォーが縛り首にされかかったまま、周囲のじつに平和的なスナップのなかで危うく無造作なオブジェとして放置され続けるカットに顕著だし、奴隷たちの鞭打たれるシーンの遠慮のなさも凄絶だ(『パッション』にほぼ等しい)。ブラッド・ピットの位置づけは白人免罪符に等しいが、何、これは有益な問いかけをも含んだ「お伽話」なのだから目くじらを立てるまでもない。 | 緑雨, けにろん | [投票(2)] |
★3 | 結婚のすべて(1958/日) | 微笑ましくも懐かしさのただよう男女恋愛論が満載。こうまで愉しく議論が日常に溶け込んでいた時代はないだろう。現在なら野暮呼ばわりされるのは必至。 | けにろん | [投票(1)] |
★3 | さよなら、人類(2014/スウェーデン=ノルウェー=仏=独) | 総括した「人間論」という大上段振りかぶりは俺の好むところではないのだが、コント映画としての大袈裟さに徹したバカ設定は結構買える。わがままに徹する国王の途切れない隊列とか、いちいち代価の代わりにキスを求める酒場の女将なんかは出色だ。日本人が撮ったならコントのお約束でミニマムに治めようとするだろう場面を、馬鹿正直に人海戦術で撮ってゆく姿勢は賞賛に値するだろう。 | けにろん | [投票(1)] |
★3 | ハワイ・マレー沖海戦(1942/日) | 誤解を恐れずに言うが、「戦争は醜い」などと最初から子供に教え込むのは、順序を間違えている。戦争には美しい面、カッコいい面が確実にあることをまず知らせる。…そして… [review] | YO--CHAN, りかちゅ, Orpheus, sawa:38 | [投票(4)] |
★3 | エクソシスト(1973/米) | 1973年。アメリカ人は奇しくももう気づいていたのかもしれない。「非キリスト者」…すなわち「悪魔」が己のホームグラウンドの中心街に入り込み、秩序と国の栄光を破壊することを。「悪魔」は砂漠の国からやって来て、アメリカの金字塔を打ち砕いた。 [review] | サイモン64, おーい粗茶, Orpheus, りかちゅほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | 鉄道員(1956/伊) | 人と人の生き甲斐とか信念とかいうものは、お互いどこかで噛み合わず、そのどちらかを立てることができないから行き違いになる。酒飲みの頑固親父が幸福な一夜をむかえることができたのは、彼にとっての一番の祝福であったろう。 [review] | けにろん, りかちゅ, いくけん, 24ほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 上意討ち 拝領妻始末(1967/日) | 司葉子の病み人のような鬼気迫る美貌が、加藤剛の品ある貴公子然とした容貌が、三船と奸臣の切り結ぶ一種異様な戦闘空間を創りあげる。関所には更なる血闘が、仲代が待っている。モノクロ画面に映し出された映像美は筆舌に尽くし難い。 | 緑雨 | [投票(1)] |
★4 | ひまわり(1970/伊) | 桜の花は死者の血を吸っているから美しいという話があるけれど、ひまわりが愛する者の血を吸って咲き誇ってくれたならどんなにいいだろう。少なくともそれなら、ひまわりは自分の方を向いて笑っていてくれるのだから。 [review] | YO--CHAN, けにろん, Orpheus, デナほか16 名 | [投票(16)] |
★4 | きみはいい子(2015/日) | 一貫して家族関係の業やささやかな交歓を演ずる作品を発表してきた、呉美保監督の第4作。祝福とともに生まれながら、往々にしてトラブルの元になり大人たちを苛立たせる「子供」というものの集大成だ。
[review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | 武士道シックスティーン(2010/日) | 近頃珍しい、正しいスポ根映画。とかく「楽しんだあげく勝てたらそれがラッキーじゃん」みたいな作品が横行する昨今、「楽しみつつ必ず勝つ」と大上段に振りかぶった少女物語は人間の物語として納得できる。と同時に、恋愛の相手ではない男性と、好敵手によって研鑽される構造は、図らずも男性的な構造をも成す作品である。 [review] | KEI, tkcrows, 3819695 | [投票(3)] |
★3 | こんにちは赤ちゃん(1964/日) | 悪人の這い入る隙のない無邪気で温かい群像劇だが、楽曲ヒットに合わせての脚本ではこんなものか。愛すべきキャラクターは多いが、やはりここは桂小金治夫婦が迎えた子供を全員で祝福するシーンで締めてほしかった。そして吉永小百合の出しゃばりも控えてもらいたい。芦川に和泉はそれぞれの世代を代弁する甘酸っぱさの好キャラ。 | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | 美しい夏キリシマ(2003/日) | 南国の有無を言わせぬダイナミックな自然のもとで、戦争は限りなく卑小な出来事に近づいてゆく。そしてだからこそ、個のレベルにおいてのその事実は哀しく深い。 [review] | けにろん, NAO, 甘崎庵, 町田ほか8 名 | [投票(8)] |
★3 | サンドラの週末(2014/ベルギー=仏=伊) | いわゆる大衆のなかのひとりを取り上げ、その「皆にとってあり得る」死活問題を淡々と述べてゆくということ。それがあくまで平々凡々とした危機であるゆえに、これで緊張感を保つ手腕というのは簡単に身につけられるものではないとは判っている。全くそうではあるのだが、これは「それだけのこと」であり、劇伴音楽を伴わずして展開される「二日と一夜」の劇は深刻そうな他人事であった。 | けにろん, jollyjoker | [投票(2)] |
★2 | レッド・ファミリー(2013/韓国) | 隣家のクズ家族すら、独裁北政権の工作員たるフェイク家族には憧憬に値したというブラックユーモア劇。しかし捨石に甘んじる美しい仮面家族を見るにつけ欺瞞は大きく胸を揺さぶる。かれらの故国は客観的に見て地獄だが、それをただの地獄と規定する南の自己肯定もまた醜悪にしか見えないのだ。ギドクの思いが真剣でも、これはプロパガンダの域を出ない。 | けにろん | [投票(1)] |