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★3 | ゲット・アウト(2017/米) | 物語の環境に似たところがあると云えばあるM・ナイト・シャマラン『ヴィジット』と較べると、作中人物とりわけ主人公の魅力が著しく劣る。翻って、シャマランの脚本・演出における最も大きな取り柄とは(どうも見過ごされがちだが)魅力的なキャラクタを創造する技術である、と云うこともできるだろう。 [review] | DSCH, ペンクロフ, pori, けにろん | [投票(4)] |
★3 | 姿三四郎(1943/日) | ほとんど馬鹿映画。藤田進の知能指数の程度もかなり怪しい。しかし可愛い映画だ。そして「風」の映画でもある。終盤の果たし合いはもちろん、序盤の大河内伝次郎の立回りでもよい風が吹いている。またその果たし合い直前の「草原」と「雲」はまったく凄まじい画面だ。まるで『奇跡』だ、とまで云うつもりはないが。 | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★5 | アウトロー(1976/米) | 全篇が見所。初めて見たときは復讐劇が擬似家族形成の物語として語られる展開に度胆を抜かれたが、これはドラマに厚みをもたらすだけでなく、ネイティヴ・アメリカンや老人や犬までもがぞろぞろと連れ立って荒野をゆくという画の面白さを実現させる。目的地に向けて歩を進めるその瞬間ごとに彼らは家族になってゆくのだ。 [review] | サイモン64, t3b, 緑雨, ナム太郎 | [投票(4)] |
★4 | マジェスティック(1974/米) | このブロンソンはなんだかかわいい。終盤のアクション演出も的確だが護送車襲撃シーンの演出も高水準だ。乱射で弾け飛ぶ西瓜という阿呆らしい画で観客の心を揺さぶる力業、車でトイレをぶっ壊すといった着想もよい。それにしても、こんな企画が平然と通ってしまうんだからやっぱりアメリカ(の七〇年代)はいいよなあ。 | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | バトルシップ(2012/米) | ブリトー入手のためコンビニに不法侵入するテイラー・キッチュの手際の悪さを定点監視カメラ映像の鮮やかな繋ぎで見せたプロローグが傑作だ。これは並大抵の馬鹿ではないと笑い慄く。ちゃんと代金を置いていくあたりも百点満点の馬鹿である。以降のシーンでは並の馬鹿に落ちぶれてしまうのが悔やまれる。 [review] | DSCH, MSRkb, disjunctive, パピヨン | [投票(4)] |
★3 | ランド・オブ・ザ・デッド(2005/米=カナダ=仏) | 技術的に未熟なジョン・カーペンター映画。アクション演出に冴えがないのが致命的。「高層タワー」に画面的必然を与えられていないなど空間設計もおざなりだ。またデニス・ホッパーが類型的な支配者像を出ず物足りない。ゾンビを楔にしたアクション政治劇を期待していたのだが。ロバート・ジョイと「花火」の着想はよい。 | 袋のうさぎ | [投票(1)] |
★4 | 銀座化粧(1951/日) | どうということない物語でも細部の豊かさに心を奪われる。路地裏の雨。田中絹代VS東野英治郎。田中春男の長唄。迷子探しのサスペンス。成瀬映画の美術として直ちに思い浮かぶのは中古智だが、この河野鷹思の仕事もよい。特にバーのセット。結末は絹代と三島雅夫が体現する、男と女それぞれの切なさ。 | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★4 | M(1931/独) | 加害者・被害者・第三者(大衆)・罪・罰・法についての実に今日的な言説を含んでおり驚かされるが、映画としてはラング自身のアメリカ時代の傑作より二段は落ちる。技巧(の突出)がキャラクタのエモーションと直結していない。そこが面白いところでもあるが。賛否ある裁判シーンはむしろ最高。なんと薄気味悪い巨大地下空間! | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★5 | 石中先生行状記(1950/日) | 出来そのものは決して最上ではないが、成瀬巳喜男の卓抜な笑いの感覚が全面に展開された抱腹絶倒の、そして底抜けにハッピーな三篇だ。登場人物の一挙一動に微笑爆笑しながらも、同時に涙がこぼれるのを止めることができない。生きることの厳しさを鋭く見つめつづけた成瀬が描いた至上の桃源郷。 [review] | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★5 | ライフ・アクアティック(2004/米) | 真に感動的なフィルム。Iggy & The Stoogesの“Search & Destry”が鳴り響く戦闘シーン及び廃ホテルとその前後のシークェンスにおける演出は我が目を疑うほどに圧倒的。エンド・タイトルバックの「全員集合」には涙が止まらない。 [review] | ゑぎ, DSCH, HW, アブサンほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | トゥルー・グリット(2010/米) | ロジャー・ディーキンスはややもするとルシアン・バラード以上の撮影監督かもしれないが、今回ばかりはカーター・バーウェルに泣かされた。“Leaning on the Everlasting Arms”を軸とした楽曲群がシンプルなオーケストレーションで情感豊かに奏でられ、コーエン的脱臼話法とは裏腹の素朴な感動を誘う。 [review] | DSCH, ぱーこ, 水那岐, 緑雨 | [投票(4)] |
★4 | ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005/米) | クローネンバーグの『許されざる者』。このカナダ人監督によるカナダロケ映画が本質的に「アメリカ映画」であるのは製作会社の国籍の問題ではむろんなく、これが『捜索者』や『ミュンヘン』のように「家に帰ること」の映画だからだ。私たちは「家」に帰らねばならない。家族がそれを受け容れるかは二の次である。 [review] | disjunctive, DSCH, けにろん | [投票(3)] |
★5 | 死滅の谷(1921/独) | ラングの表現主義映画かあ。と構えながら見はじめると、サイレント時代の「名画」と云われても不思議ではない普遍的な端正さを示す画面に却って驚く。だがそれは冒頭だけ。死神ベルンハルト・ゲッケの登場あたりから徐々に陰惨なムードが漂い出し、唐突に「壁」が出現するに至って私は確信する。「傑作だ!」 [review] | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | ハンナ(2011/米) | 物語の種々の要素がとっ散らかしのまま一向に消化されないので珍作感が甚だしい。また、アクションをやりたくて仕方なかったジョー・ライトがこの題材を選択したことに驚きはない。バスターミナルから地下道にかけての長回しをエリック・バナの格闘で締め括る、なんていう頑張り演出は微笑ましい限りだ。 [review] | ゑぎ, ペペロンチーノ, ぽんしゅう, すやすや | [投票(4)] |
★4 | 私たちの好きな八月(2008/ポルトガル=仏) | この現実と虚構の混淆ぶりにはキアロスタミも腰を抜かすだろう。その場しのぎと思われた現場レベルの工夫がいつの間にかジャンルを解体して映画の新たな可能性を拓く。前代未聞の結末には唖然とするほかない。一方でダンスシーンが充実しているなど、映画らしい伝統的細部へも高い意識が向けられている。 | 袋のうさぎ | [投票(1)] |
★4 | ハイジ アルプスの物語(2015/スイス=独) | 「山岳×子供×動物」の映画としては、たとえばニコラ・ヴァニエ『ベル&セバスチャン』に劣る。動物の活躍が存分でないからだ。それでも動物への無償のシンパシーを開巻から全身の筋組織で表明する少女には感動がある。「白パン」を忘れないなど、忙しい語りが山岳生活の称揚に終始しなかったのも聡い。 | jollyjoker | [投票(1)] |
★3 | 馬々と人間たち(2013/アイスランド=独=ノルウェー) | 馬の扱いにかけて珍奇な映画であることは確かで、むろん家畜には違いないはずだが、ここでの馬は西部劇や戦争映画に見られるような目的的存在としては撮られない。崖落ち・七頭横並び歩きなどスペクタクルな画面造型や、海渡り・腹潜りなどのびっくり演出を認めることもできる。人の死にやすさには笑う。 | jollyjoker | [投票(1)] |
★3 | ワンダーウーマン(2017/米) | 主人公が正しすぎて息苦しい。それを補償すべく「(西欧的)世事の疎さ」が機能するロンドン・シークェンスはひとまず面白い。また、大概は映画に相応しいはずの「光る」投げ縄も、その露骨なディジタル描画感が興を削ぐ。『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』のラウ・チンワンから鞭使いをまねびたい。 [review] | ガリガリ博士, 月魚, けにろん, ぽんしゅうほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | 殺し(1962/伊) | トラッキングショット、エクストリーム・ロングショットに映画を見る/撮る歓びが溢れる。光の調子・被写体との距離・カメラの動作によってシーンの感情を巧みに描き分ける一方で、出来事と芝居の扱いがおろそかになりがちなのも若き映画狂らしい。紙屑が舞う開巻の光景から全力で映画の詩を綴っている。 | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★3 | アトラクション 制圧(2017/露) | エスエフというより民話だが、確かにこれほど憎々しいばかりの悪役造型は昨今奇特な古典性だ。グーグル少年のような脇役配置もしかり。特に何をするでもない巨大異物が日常化を被っていく光景は『モンスターズ 地球外生命体』『シン・ゴジラ』あるいは町田康の短篇「ギャオスの話」に通ずる趣きを持つ。 | けにろん | [投票(1)] |