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★5 | 羊たちの沈黙(1991/米) | 「視線」の物語。記憶の克服と絶対善へとクラリスをいざなう導師レクターの挑発的かつ透徹した眼差し。覚醒し人として存在意義を賭けて戦うクラリスの眼差し。それは「対決」ではない。「愛」の不可解な「共犯関係」。フジモトとショアの職人仕事が低温かつ鋭い緊張感の屋台骨を支える。そして対置される「熱っぽい視線」。「熱」こそが人を動かす。それが善であるか悪であるかは問題ではなく。 [review] | pori, 袋のうさぎ, 3819695, ジェリーほか5 名 | [投票(5)] |
★2 | オールド(2021/米) | 容赦なく過ぎ去る圧縮された時の中でいかに赦すか赦されるか。恍惚と忘却の奇跡など心揺さぶられるシークエンスもあるのだが、そこはやっぱり掘り下げない(掘り下げられない)。強迫観念的にスリラーシーンとオチをつけて、過程の旨みをスルーする安定のシャマラン。ヴィッキーもトーマシンも魅力に欠けた撮り方で、ファンとしては嘆息するしかない。 | ゑぎ | [投票(1)] |
★3 | ラストナイト・イン・ソーホー(2021/英) | 鏡を介した彼我の混同の演出がかなり凝っていて(どうやって撮るんだろう)、主役二人の良さもあって見入るのだが、にしてもヤング向け(死語)劣化マルホランドドライブの域を出ないなあ、このまま逝くのだろうかと思っていると、
[review] | ロープブレーク, けにろん | [投票(2)] |
★2 | ザ・ウォード/監禁病棟(2010/米) | 残念ながら、清々しいまでにつまらない。カーペンターの精髄って、絶対に整合性とかオチとはかけ離れた、自分の脳ミソの知らないところを揺さぶられる感覚だと思うのだが、ここには何もない。ショック演出の陳腐に嘆息。ダンスシーンの禍々しさも、『インランド・エンパイア』の百倍希釈レベル。 | t3b | [投票(1)] |
★5 | DUNE/デューン 砂の惑星(2021/米) | 文字通り血を吐く異文化交流。五感で飛び込み命を賭ける全霊のコミュニケーション。これはヴィルヌーヴらしい「境界線」上のドラマの徹底。無類の「巨きさ」と細部の意匠、「豊穣な緩慢さ」にも磨きがかかり、もはや新古典の趣。ド直球で好み。嫌いな人がいるのも相変わらず頷けるが。
[review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け(2019/米) | 「俺たちの方が速い」「行くぜ、チューイ!ハッハッハァ!」・・・何という至福。もう色々どうでもよくなりました。これはたぶん志の低い映画です。うるさ方には噴飯モノでしょう。しかしそれでいいのだと思います。チューイが共にあらんことを。全ての亡き者たちのために。 [review] | カルヤ, tredair, ジェリー, 死ぬまでシネマほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | ブルータル・ジャスティス(2018/米=カナダ) | 顛末語りの根底にあると思われる社会観が少し煙たい(※)ものの、面白い。グダグダな喋りの緩さ、おかしさと呵責ないアクションの緩急の「間」による翻弄。片頬だけ上げて皮肉に嗤う「たちの悪い冗談」としての人生。タランティーノとコーエンの後に来たるべくして来た象徴的なアメリカ映画。覆面二人の異様な迫力とカラッカラに乾いたブラックユーモアがたまらない。撮影も相当いい。 [review] | disjunctive, 袋のうさぎ, ゑぎ | [投票(3)] |
★4 | モンキー・ビジネス(1952/米) | ホークス初見。突然跳んだり跳ねたりのジンジャーらの痙攣的な突拍子もないアクションが楽しい。コップ芸の動きを見るに体幹バッキバキだろう。グラントの余裕(でも真面目にやってる)、暴走シーンのスピード感も含めて他愛ないように見せかけて紛れもなくプロにしか出来ない高度なおふざけ。フェイスペイントに瓶底眼鏡のグラントが愛おしいです。モンローはモノクロの方がかわいく見えますね。 | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★4 | Swallow スワロウ(2019/米) | 他人の身体、消化器官としての「家」(社会)。対して「異物」としての主人公。異物のままに排出され、何ものにも包摂・消化されず、異物のままに生きるということ。一見スリラーのフリしたフェミニズム映画に見えるのだが、実はそれにすらも背を向けている孤高がある。身体性とテーマを重ねた演出はこの点、一貫して見応えあり。私のこころも体も、私のものだ。 [review] | ゑぎ, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 茶目子の一日(1931/日) | シュール。人が物や生活を支配しているつもりになっているのは大きな思い違いではないか、という気持ちの悪い気付きがある。物と生活が人を支配するのだ。(服を着るのではなく着られるシーンで安部公房の『壁』を想起した)作り手がその気なのかわからない脳天気がまた異様で、自由意志が蹂躙されてるようにも見える結構なホラーフィルム。(寒山さんのレビューで興味を持ち、調べたところ、YouTubeで視聴出来ました) | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★4 | ライトハウス(2019/米) | 潜在的欲望と罪悪感で自分の首を絞め、現実も夢想も全てが懲罰の暗示になってしまい、閉鎖空間でクソまみれになって自滅する。それが古臭い男根的価値観に根差していることなどへの嗤い・諧謔を含むことなども含めて『シャイニング』(当然にキューブリック版)っぽい、というのが素朴な感想。霧笛がめっちゃ禍々しくて素晴らしい。(注:レビューにいくつかの性的表現を含みます。少し追記) [review] | けにろん, ゑぎ, 週一本 | [投票(3)] |
★3 | バクラウ 地図から消された村(2019/ブラジル=仏) | 清汚併せ呑む「マイノリティ」「逃亡者」のアジール。多様性だの人権だのとうるさい、面倒だから消えてしまえばいい、という「マジョリティ」の潜在意識。「今から数年後」とされる点から、大なり小なり、いずれ血の雨が降る、という「断絶」の予言的寓話として観るべきであり、混沌がジャンル映画的に簡潔な帰結に至るのもアイロニーの一つなのだろう、と思いたい・・・が。
[review] | ぽんしゅう, けにろん | [投票(2)] |
★5 | ゼロ・グラビティ(2013/米) | 人間がクルクルと無重力に翻弄され、「宇宙」が襲いかかる画は『2001年』を想起させるが、冷笑で支配するキューブリックとは真逆を行くエモーション。体の重さを失って心の重さを知る。心の重さを知って、大地を踏みしめる。これは「生まれること」についての物語だ。再突入シーンの「死と虚無に追いつかれないように速く!もっと速く!」という臆面もない熱さに射貫かれる。これをこそ待っていた。(修正改稿) [review] | pori, アブサン, Myrath, ナム太郎ほか10 名 | [投票(10)] |
★4 | ターミネーター(1984/米) | シュワの大根演技(誉め言葉)が稚拙な「人間ぽさ」を醸す時に、簡単に機械に模倣され還元されてしまう人間存在の危うさを呟いた押井のボサボサ髪が頭をよぎる。しかしそんな思念を容易くぶっ飛ばすビーンのどこまでも人間らしい汗臭さのコントラストが今なお熱い(ビーン万歳)。鋼鉄製のストーカーと漢とイモ姉ちゃんのSF三角関係。発想と単純化と突き詰めの執拗な反復と円環。そして「体液の作家」の真骨頂(か?) [review] | pori, 山ちゃん, 煽尼采, ナム太郎 | [投票(4)] |
★4 | ミリオンダラー・ベイビー(2004/米) | 正しく教わり、正しく教える。正しく教え、正しく教わる。ただそれだけのことになぜこうも心を動かされるのか。今日その理由は明白。しかしその「正しさ」が一瞬揺らぐとき、全ての「正しさ」の意味が失われ、人は選択を迫られる。そして、これまでも「正しかった」のか。その「一瞬」のあまりの重さ。あまりに重くてゲンナリするが、覚悟の上で「真の正しさ」を追求するのが人生だとE親父に諭されたらグウの音も出ない。
[review] | pori, jollyjoker, 赤い戦車, けにろん | [投票(4)] |
★5 | 八日目の蝉(2011/日) | 男性女性父母血縁という言葉の意味の瓦解を経て、「親」を再構築する小豆島シークエンス以降の「景色」が圧巻。父でありながら父であることが出来なかった男達と、母でありながら母であることが出来なかった女達。彼らが一様になし得ず、希和子がなし得たのは「子」に「景色=幸福な記憶をあたえる」ということ。その「ふつう」の決意の中において、全ての傷ついた女性だけでなく、男性も赦される。「聖なる景色」の映画。泣いた。 [review] | ジェリー, 3819695, にゃんこ, ありたかずひろほか7 名 | [投票(7)] |
★3 | トマホーク ガンマンvs食人族(2015/米) | 『ブルータル・ジャスティス』から逆走して観た。穴居人はネイティヴ・アメリカンとは峻別して提示されるが、「白塗りの黒人が白人を駆逐する」という『ブルータル〜』のモチーフを踏まえると、やはりここでも登場する黒い肌を白く塗った未開のモンスターのイメージには監督の強迫観念的なものがあるのかなと思う。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★3 | ジョジョ・ラビット(2019/米) | ヒトラーに傾倒して世界を破壊するのも、女の子になびいて世界を救うも壊すも紙一重。無垢の希望と狂気を描くに究極的な題材なのだが、善意が溢れ過ぎている。もちろん、だからこその良さがたくさんあって否定したくないのだが、境界線上での爪先立ちのスリルというか越境する不健康さ、危うさが欲しい。 [review] | disjunctive, 緑雨, けにろん, ぽんしゅうほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007/英=仏) | 序盤から全体主義のゾンビが跳梁跋扈するあからさまな恐怖映画。ゾンビの巣窟=田舎。ここに「眉間に皺の”天使”」が降り立つ、というのが面白い。裏、もしくは真『松ヶ根乱射事件』(←ネタバレあり) [review] | disjunctive, 3819695 | [投票(2)] |
★4 | Mr.ノーバディ(2021/米) | 要するに回春ネタだというのが可笑しい(アツくなってきた!)。全編にわたり冗談、シャレが貫かれており、何度も観たくなる画も多い。殺戮をギャグにしようと思っても、凄惨な影を払拭するのは結構難しいもので、これがちゃんと出来るのは絶対偉いと思う。Don’t stop me now.Cause I’m havin’ a good time, havin’ a good time
! [review] | ゑぎ | [投票(1)] |