[コメント] PARTY7(2000/日)
ペンと紙ではなく、カメラとフィルムで作られたギャグマンガ。
珍妙なキャラたちがドタバタをくり広げるさまは、まさにギャグマンガそのもの。マンガやアニメを血肉とした石井克人ならではの映像世界だ。
この映像世界に大きく貢献しているのが、もはや存在そのものがマンガ(やアニメ)キャラレベルまで昇華した我執院達也だ。この実写版マンガキャラとも言える得難い人物がいることで、そこへ向かって登場人物たちを作っていけば他の役者も自ずとから「マンガ」になってしまうのだから。
しかし、ここまで「マンガ」でいられるのは、その基底に「映画」の視線があればこそ可能なもの。壁を隔てた心地よい空間から、のぞき窓というフレームを通して他人の生活を覗く、という行為は、まさに安楽な椅子に座りスクリーンというフレームを覗いている映画の観客そのものなのだ。あの小林明美の肢体に投げかけられる浅野忠信のあられもない視線は、カメラのファインダーを覗いている監督の視線であり、スクリーンに投げかけられる観客の視線でもあるのだから。映画の内包する「覗き」の要素に、監督自身、自覚的なのがうかがえる。
しかし、「思ってる」「思ってない」の応酬しかない会話のバリエーションには閉口するが…。
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