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[コメント] おくりびと(2008/日)

彼岸と此岸の橋渡し。このような形で死者との対話をつかさどる職業があることを知った。素晴らしいことだと思う。
TM

「死体」の持つ佇まいは彼岸と此岸とに動かしえない境界線を引き、僕たちは愛するひとが手の届かないところに去ってしまったことを知る。しかし、そうなってみて初めて、そのひとに話したかったことが胸の中に溢れていることに気付くのだ。そのどうしようもない隔たりを埋めて、橋渡しをする職業があったとは。納棺師の手により、彼岸に去った愛するひとが今ひとたび、僕たちの前に現れ、そして言葉には出さなくても万感の思いを伝える時間を持つことができるということだと思う。それが魂の浄化、ある者にとっては救済ともなるだろう。それは日本人が古来より形を変えながら連綿と続けてきた魂の営みだと思う。恐山のイタコも形こそ違え、同じ役割を持っていたはずだ。ただ、「死」を生活から単純に切り離し、言葉の真偽のみが揶揄されるご時世ではその存在意義も心許なくなっているんじゃないかな。納棺師とは、この魂の営みを現在に伝える素晴らしい職業だと思う。そして、その存在をこれまで知らなかったことが残念だ。

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