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[コメント] CASSHERN(2004/日)

戦争反対!戦争反対!どっかーん!!どっかーん!!。予想を遙かに凌ぐ、激しく酷い出来に観客は別の意味での『プラベートライアン』状態。予告編を見て期待した人は、全員爆死必至の、スーパーBOMBムービー。いやー、ホント凄いよ…。
すやすや

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前置きとして、この映画を面白かったとか感動したという人は読まないでください。ありとあらゆる罵詈雑言を並べ立ててこの映画を貶してます。感動した人には申し訳ありませんが、私はこの映画に怒ってます。ですから自分の感情を正直に吐露しないわけにもいかないわけなのです。しかも、丸の内ピカデリーで3000円出して指定席で見たんですよ!!私だって少しは期待したんですよ!! それでコレですか??とまあ、その辺の私の心情もご理解ください。

あまりに酷い出来に、最後には怒りを通り越して可笑しくなってきてしまいました。 映画館にお客さんがいなければ、間違いなくゲラゲラ笑っていましたね。 だって、こんなに酷い映画滅多にないもの。 今、この場でこの映画の悪いと事を全部書ききれる自信がないくらい、耐え難いところが多いんですから。

映像がスゴイっていうけど、実写合成用の背景のレゾ(解像度)の低さに我が目を疑います。そもそもレンダリングじゃなくて、手で書いているぽい背景もあったような気がするのですがどうか?別に手で書くな、と言っているわけではありません。ただ、モロワカリの”手書きを絵”を見せられちゃ、観客として萎えます。 背景CGとの合成を楽にするために、ほとんどカメラを動かしていないので、突っ立ているだけで青臭い説教の棒読み演技がなおさら、睡魔をさそう。実際にブライキングボスがデッカイロボを出撃させる前の演説で寝た…。

ちょっとカメラを動かしたかと思えば、複数の2D背景を少しずつずらしているだけ。 って、多重スクロールですか??? 今時ゲームだってそんなテク使いませんよ! 確かに、カメラのトラッキング合わせ、つまり実際のカメラとCGのカメラを一致させる作業がメンドクサイのはわかる…。しかし、今じゃ自動的にトラッキングをしてくれるお手軽ツールもあるはずだ。なんでその辺の手間を惜しんだのが特撮スタッフに聞いてみたい。

さらにレゾの低い画面を誤魔化すためにキラキラエフェクトやら、ソフトフォーカスのエフェクトをガンガンにかける者だから、映像がチラチラして見にくくてしょうがない。 チラチラするといえば、暗い画面でホワイトノイズが乗っているのはエフェクトですか?画面がなんとなくジリジリしているのはコントラストを強くしているせいですか? すいませんけどレンダリング画像の解像度いくつですか? 

ああ、それからこの映像が『ブレードランナー』の影響を受けた云々と伝えられていますが、モロパクリの映像は『MEMORIES』の「大砲の街」です。最後にはちゃんと”大砲”も出てくるので、たぶんリスペクトやらオマージュやらを捧げているのでしょう。

アクションシーンもPV出身の監督だから少しはスタイリッシュに撮るかと思えば、樋口絵コンテシーン以外は全然ダメ。そもそも、アクションのリズムや流れが、撮る前から監督の頭にイメージがないのだろう、ただ細かいショットをつないでいけばアクションシーンになると思っているならアクション映画をナメすぎだ。アクションとは溜めと解放、そしてリズム。もっと修行せい!特に佐田真由美との対決シーンはヒドイ…。画面でいったい何がおこっているのかさっぱりわからない。 アクションシーンでかかるBGMの選曲も最低だ。アクションシーンにハードロック系を流すなんてダサダサ…。もっと頭使えよ…。

はぁ、疲れた…。 ええっと、次はストーリーですか…。

あのよくわからん稲妻はなんですか?雪山に突然ロボットの製造工場があるっておかしくないですか?秘境の山にいたキャシャーンがいきなり、秘密工場に落ちてきたのはなんですか?「たった一つの命を捨てて、生まれ変わった不死身の体、鉄の悪魔を叩いて砕く、キャシャーンがやらねば誰がやる」と大見得(宣伝だけど)を切っているけど、当のキャシャーンはそんな決意をしたそぶりも見せずに戦争反対!って言っていましたけどアレでいいんですか?そういえばキャシャーンは何のために戦っていたんでしたっけ?なんでルナは生き返ったんですか?なんでキスすると爆発するんですか?新造人間のくせに死ぬんですか?不死身なんじゃないんですか?なんでキャシャーンだけ爆心地にいて平気なんですか?戦争反対と散々散々騒いでいましたが、ところでどこの国と戦争してたんですか?とあげればキリがないんですが、なんと言っても、

ブライキングボスとキャシャーンは実は人間なのに、なんであんなに強いんですか? それに、「実は人間なのだー」と言われたところで、元々クローンみたいなもんなんだから、別に驚きもしませんが、なにか?

そもそも、なんで機械じゃなくて”新造細胞”とかいうバイオなものにしたんだ? だって、あれじゃあスーパーパワーがあるだけで基本は人間じゃないですか。ゴハンも食べられるし、Hだって力を加減すればできるし…。原作のように全くの機械で、いつもあんなコスチュームしてなきゃいけないとなればブルーにもなりますが、Hできるのに「僕はもう人間じゃないんだー」とか言われてもねぇ。説得力ないですよ。

とどのつまり、破綻しているわけですよ。 あのデッカイ爆発ロボ以降はもうグダグダの滅茶苦茶、支離滅裂甚だしく、トチ狂った戦場状態。

そして、『イデオン発動編』を思わせるぶっ飛んだラスト!! いやー、あのシーンでこの映画がタダのウンコ映画じゃなくなりましたね。このシーンがあるために、この映画は『シベリア超特急』や『幻の湖』なみに後生に語り継がれる最低映画になりました。

そしてヨメのスローバラードが暗転後に流れる…。

す、素晴らしいコントラストだ!思わず爆笑しそうになりましたよ。

とまあ、酷い映画ではあるんですが、玉石混合のところもあって良い点もいくつかあります。

宮迫の白痴演技。あいかわらず幸薄そうな美人をやらせたら右に出る者はいない麻生久美子。そして職人樋口監督が仕込んだアクションシーン。ここのアクションシーンだけは背筋がゾクゾクするほどに素晴らしい。月光に立ちすくむオープニングからの鬼神のような攻撃ぷりは、スパイダーマンの摩天楼シーンに引けをとらない爽快感!なんで樋口監督に全部やらせなかったのかなぁ…。

ところで、隣の同年代の女性が感動して泣いていたのには、椅子から転げ落ちるくらい驚いた。私は人の感想をとやかくゆうのは野暮だと思っているのだが、この映画のどこに感動したのだろうか?

※PS

感動して涙した人は、あのラストの回想シーンで泣いたみたいね…。 あそこでねぇ…。いや…、いいんですけどね…。

(評価:★1)

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