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[コメント] ミッドナイト イーグル(2007/日)

基礎体力からして『亡国のイージス』、『ホワイトアウト』に劣るので、どんなにトレーニングしたところで勝負にならない。いくら娯楽映画とはいえ、ご都合主義な展開や設定が多すぎる。
すやすや

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作は全然話題にならなかったので未読。

以前同じ原作者の別の小説「スピカ」を読んだことがあるがおもしろくなかったのであまり期待もしていなかったが、舞台が登ったことがある北アルプス穂高岳、槍ヶ岳の近辺らしかったのでロケ映像がどんなものかと思い観ることにした。

細かいことを気にしない観客ならばそれなりに見れる映画だとは思うが、自分はこの手のポリティカルアクション系が好きなので細かいディテールやご都合主義の展開が気になって仕方なかった。

まず、ステルス爆撃機が北アルプスに墜落したら、横田基地の米軍がだまっていないだろう。その時点で自衛隊の出る幕ではないと思うのだが、ビタイチ米軍の描写ない。また横田基地で北朝鮮工作員がステルス爆撃機に爆弾をしかけたことになっているが、米軍の最重要機密であるステルス爆撃においそれと近づけるのはおかしいし、搭載核爆弾の爆破コードを書き換えるなんてこともありえない。

また、冬の北アルプスの山中に墜落したステルス機を正確に北朝鮮工作員が捜し出せてしまうのも変。どこからその情報を仕入れたのかと。よしんば情報を仕入れたとして吹雪の北アルプス山中で外国の勝手も知らない工作員が墜落機を探すなんて不可能に近い。というか、地元の山岳ガイドだって探すのは至難の業だ。

爆撃機の搭載されていた核弾頭の爆破コードを解読することがストーリーのキモになっているが、ここもおかしい。爆撃機の発射コードはパイロットが勝手に打てないようにするために、必ず大統領のブラックボックスによる解除が必要なはずなのだが…。

それ以外にも吹雪の山中に墜落したステルス機にまったく雪が積もっていないとか、北朝鮮工作員強すぎで自衛隊弱すぎとか、北朝鮮工作員はRPGロケットランチャーを背負って北アルプスを登ってきたの?とか、ステルス機のCDDが使えるんだから核弾頭の発射コードも遠隔操作できるんじゃないの?とか、なんでパスワードがメモリーカードとかじゃなくてチップなんだよ!とか、ナパーム使わなくても通常弾頭で雪崩起こせばいいんじゃないの?とか、おい自衛隊!衛星電話はもってこなかったのか?とか、いくらスクープとはいえ雑誌記者が北朝鮮工作員をかくまうっておかしくない?しかもそれが嫁の妹?奇遇ですね!とかツッコミどころ満載。しかし、この辺は原作の線の細さが原因じゃないかと思う。

まあ、そういう細かいところは映画だからいいじゃないの、と捨て置いてもいいのだがそれならもっとド派手にドンパチをやってほしかった。せっかく日本の絶景北アルプスが舞台なんだから、それを生かしたアクションがあってもいいと思う。

クリフハンガーとかバーティカルリミットくらいの突き抜けた見せ場がないのが物足りない。

個人的には穂高の稜線でドンパチしたり、コブラが北アルプスを舐めるように飛ぶところかを観たかったと思うが、実際にやるとなると大変なんだろうなぁ。

肝心のロケ映像のほうは序盤の穂高の稜線部分以外はどうも別の場所で撮られたようで地味な雪山風景に…。これじゃあ北アルプスを舞台にしている意味が…。 ちなみに舞台となるステルス爆撃機の墜落場所は架空の場所でどこに落ちたのかイマイチわからず。絵の位置関係から考えると常念岳と双六岳の間の沢ぞい、温泉でいうと新穂高温泉の先の山を越えた裏手あたりのよう。

主演の大沢たかおのマトモな演技に助けられてそれなりの映画にはなったが、「ホワイトアウト」のように織田裕二とかだったら目も当てられなかったと思う。

(評価:★3)

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