[コメント] 真珠の耳飾りの少女(2003/英=ルクセンブルク)
一枚の絵画の裏にある制作秘話が、同時に一つの鑑賞の視点を与えてくれる。これは映画が実現した、絵画鑑賞の優秀なガイダンスだ。
見事ですね。絵画という静的な芸術を、動的に紹介することに長けています。切り取ったらそのまま絵になるような、絵画的な構図に満ちた作品なのです(そういう映画なら他にもたくさんあります)が、これをカメラワークの流れの中でやるんですね。スーッとカメラが動いて、ピタッと止まると、それが絵になっているという。凄いのは、中盤になって目が慣れてくると、カメラが絵画的構図を欲しているように見えてくるのですが、今度はこれをわざと外すんです。スーッと動いて絵画的プロポーションに到達しても、そこでは止まらず通過してしまう。このタイミングのずらし方が見事。ちょうど良質のサスペンスや、一流のお笑い芸人が取る間合いのような、絶妙な外し方。これが物語に動的なダイナミズムを与えているんですね。私はこれが凄いと思いました。今度ハーグに行ったら、ぜひこのフェルメールの絵を生で観てみたいです。
80/100(04/11/23見)
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