[コメント] クラッシュ(2005/米=独)
ドラマを一本で描こうとする際には削ぎ落とされてしまうような、人間生活の微細な感情を捕捉することに成功してるなあ、と思った。
例えば”レイシスト”マット・ディロンのキャラはこう見た。
彼は社会が表面的に人種差別を悪と見なすことは理解している。でも日常の鬱屈とか不満の集積がそこへ捌け口を求めてしまうことはある。しかしながら、彼の中にかろうじて残り彼の誇りを支える職業意識の高さが、いざという局面でそういった雑念を捨てさせ、職業倫理に準じさせた。
映画としてはおそらく、いざというときにそう振る舞えるなら、日常でだってそうありうるはず、と提起してるのだろう。
一見バラバラに見える世の中も実は知らないところで連関している、ということを映画でやりすぎると白けるわけだが、ギリギリんところで世の縮図にとどまり、骨太王道ドラマでは描けない人間生活の繊細な感情を掬い上げている。
85/100(07/04/21記)
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