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[コメント] 街のあかり(2006/フィンランド=独=仏)

暗い。バースデーケーキの上の、たった1本のろうそくの灯のように暗い。だがそれもあかりだ。
G31

 テンポが緩やかなため、人間というものへのカウリスマキの洞察が、侵みわたるように伝わってくる。そこは良い。

 甘い、とは思う。例えばコイスティネンのことを悪党の親玉に「忠実なだけの負け犬だから裏切らない。意気地のない女々しい男だ。それを見抜いた俺は天才だ」と言わせていたが、それを理解できるのは彼(親玉)自身の内にその種の弱さが潜むからで、人間というものを深く知る男なら、いざというときには何をしでかすかわからない、ということを認識しているはずであり、犯罪という危険を冒すのに、余計なリスクは背負わないはずである。悪党という人間を、その程度の深みでしか描けないのは甘さだ。

 しかし、そうであったにせよ、それを隠してはいないところが良い。

 ただ映画というものは、もっと「面白さ」で押しまくってほしい、と思うのである。

75/100(08/01/06見)

(評価:★3)

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