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[コメント] Little DJ 小さな恋の物語(2007/日)

感情のアンテナに引っ掛かった物事から、子どもは自分なりの世の中を作り上げていくんですね。大人たちがそれぞれ役目を果たしていてよかったです。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 例えば捨次・松重豊が太郎・神木隆之介に「言わないとあとで後悔するから、好きになった女にはちゃんとそう言え」と言います。これによって太郎は初めて、たまき・福田麻由子に想いを伝える決意をするわけです。映画において、核心的な助言だったと思います。・・・実行まではさらに時間がかかったわけですが。

 捨次は、意識してかせずにか、もう一つ、重要なことを言っています。それは、「声は(記憶に)残る」ということです。これは、「僕はもう少しでこの世からいなくなってしまうのかもしれない」と思い始めている子どもにとって、そしてささやかなDJ という仕事に日々のやりがいを見出だしている子どもにとって、強く印象に残る、もしくは勇気を与える言葉であるように思いました。

 こういう周囲の大人の存在をさりげなく配置できる丁寧なストーリー。僕らがこうあってほしいと願う理想的な世の中の縮図になっていると思いましたし、僕自身も必要な場面で必要な役目を果たせる大人でありたいと思わされました。

 もっとも捨次は、まだ病気のことをはっきりとは知らされていない太郎に「(その彼女は)おめえとおんなじ病気で死んじまったよ」と、言わずもがなのことまで言ってしまうわけですが。まあ、これも世の中の縮図ではありましょう。

 あと、あざとさの一歩手前で引き返す演出の潔さ、とでも言うのですかね。太郎がようやくたまきに告白するシーン、彼はポータブルデッキの録音ボタンを押してから話し始めるのですけど、それはフリの部分だけで、いざ「好きだ」ということを言う直前には、録音を止めるのですね。僕は、このテープは後の展開で使い回すのだろうと、当然のようにそう思いながら見ていたので、いやもう自分の心の汚れ具合に自分で気づいて恥ずかしいやら決まりが悪いやらという感じでした。実際の中学1年生が、自分にとってとんでもなく恥ずかしいことをこれから行おうというのに、録音して取っとこうなんて思いが働くわけないですね。いやはやなんとも。

 もう一つ、『ラストコンサート』なんて映画は知りませんでした(キャンディーズ好きの中学生が観るような映画でもなさそうでしたが)。今度これ観なきゃいけませんね。

80/100(15/04/05記)

(評価:★4)

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