今風のフェミニンな理想の男性像をよく採り込んでいて、それがおかしみとして機能していますね。このスパイ君（トム・クルーズ）は結婚したら育児にも積極的に参画してくれそうだし、ゴミ捨てとかにも自発的に行ってくれそうだし・・・、みたいなね。それでいて仕事はデキる男で、責任感もあって何事も最後までやり抜く意志の強さを持っている、と。アクション映画というと普通は女性は飾り物で男性目線の作品が多いわけだが、一般的な女性が思い描く理想的男性像をうまく汲み取った女性目線のアクション映画、であるところが斬新なのかな。

　基礎的な演出技術が確かだというのもその通りで、ふと目覚めると布団をかぶって寝ていて、あっと思ってぱっと布団をはがすと、ジーンズを着たままなので（何事もなかったのだ）と分かるシーンがあり、次に目を覚ますシーンでは、自分で着た覚えのないビキニの水着を着ているので、憤然として抗議に行くみたいな、文字にするとまどろっこしい内容を映像のみでオチまで伴いつつテキパキ描いてくところとか。

　面白かったです。

　一つだけ。私は、イイ男は髭を生やしてはいけない、というのが自論で、久々にトムのすっきりした顔立ちにお目にかかれて良かったですけど、さすがに往年のみずみずしいハンサム・ガイぶりからはだいぶ落ち込んだように感じましたが・・・いかがでございましょう？

80/100