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[コメント] 太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男(2011/日)

タッポーチョ。竹野内豊始め現代日本の役者陣が、毅然とした帝国軍人の骨っぽさをどこまで表せるか疑問だったが、変な個性の発露みたいのが抑えられ、案外良かった。
G31

 したがって、唐沢寿明(←スキンヘッドって、おい)など一部を除く。

   ◇ ◇ ◇

 8月15日の終戦の詔勅は、海外に展開していた日本軍各部隊にとって武装解除命令な訳で、“絶対に”従わなければいけない命令のはずだ。

 ところが、この命令が、たまたま届かなかった部隊にとっては? これは、周囲の状況がいかにもっともらしく見えたとしても、“絶対に”騙されてはいけない、敵軍のプロパガンダとして見なされるようだ。

 上官が皆、戦死し、敗残部隊を率いるハメとなった大場大尉にとって、正式な指揮命令系統から明快な武装解除命令を受け取るまでは、徹底して抗戦を続けるのが軍人としてまったく当たり前の行動である、として描かれている。

 米軍もそれは分かっていて、その“事実”をあの手この手で敗残日本兵部隊に伝えようとするが、決して戦闘体制は解かない(敵=日本軍は訓練された武装勢力だから当然だ)。

 その中に、奴らはよく戦った、よく俺たちを脅かした、敵ながら天晴れだ(admirable)、との想いのあることが、本作の原点になっている。実にこれは、アメリカ側から語られた物語なのである。日本側への“取材”も相応に行ったようだが。

 現代日本の1軍級の映画人が、こういう話に取り組んだことに意義があると思う。なんか知らんがそこらの邦画より、画面にみなぎるリアル感、緊迫が半端ない作りになってたし。

13/10/23記

※)タッポーチョは、大場隊が潜伏していた山麓の山の名。日本人は、タッポーチョという地名を覚えておこうじゃないか。

(評価:★4)

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