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[コメント] 仁義なき戦い 広島死闘編(1973/日)

北大路欣也の狂気をはらんだ男気と、それと対を成し受容する梶芽衣子の“女気”。人生の織り成す綾の不思議な美しさ、そして人が画策し転変する運命のむごさ!シリーズ二作目にして仁義なき暴力抗争の本質的悲劇をえぐり出してみせた要の傑作!!
G31

相変わらずの淀みなくテンポのよい演出と、前作までの人間関係をうまく絡めた筋運びの巧みさは見事。多少登場人物が多くて相関関係を追うのに苦労するところがないでもないが、筋運びに確からしさを感じる為、安心感をもって観ていられる。

そしてこのシリーズ全体に共通するのだろうが、殴り合いシーン、殴り込みシーンが観ていて実に楽しい。普通の映画だと、実際に殴り合うわけでも、ドスを突き刺すわけでも、弾丸が当るわけでもないので、まあ、これはお約束、と半ば目をつむりながら見ることになる。しかしこの作品はまったくそれを感じさせない。動きそのものがにぎやかで楽しいだけでなく、どんな激しい動きもきちんと追いかけて収めるカメラ、というのは逆に言うと、計算し尽くされた演出ということではなかろうか。ジャッキー・チェン系の危険と紙一重なところからくる緊迫感とは別の、映像表現としてきちんと成立した娯楽性を感じる。

それにしても惜しいというかもったいないと思えるのは、山中(北大路)が村岡親分からもらった金時計のエピソード。その後映画の中でなんの処理もされず放置されっぱなしなのは、いかにも勿体ないというか、贅沢でさえある。

85/100(02/05/18見)

追記:1作目はずいぶん昔見たが中身忘れた。最近見て覚えてるのは、5作目『完結篇』のみ。

(評価:★4)

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