[コメント] 街の灯(1931/米)
サイレント映画の、最も良い部分があらわれた、映画史上の名作。
コメントのところで雪氏が書いているのとは違う意味かもしれないけど、私にとっても、映画好きになった原点はチャップリンかな、という気がする。
この映画もテレビ放映されたのを録画して、何度も何度も繰り返し見た。後で知ったことだが、すでにこの映画の頃サイレント映画は傍流で、サイレントに合わせた演技のできる役者を探すのに苦労したそうだ。しかしそんなことは少しも感じさせない出来映えで、間の取り方、手足の仕草、表情の作り方、どれをとっても、今は無き「サイレント映画」というジャンルの作品群の中で、最高の域に達しているのではないだろうか。
彼が「世間では1人を殺せば悪人だといわれるが、戦争で100人殺せば英雄だ(←不正確です)」と言ったのは『殺人狂時代』の中でだが、この映画でも彼の痛烈な皮肉家ぶりが遺憾無く発揮されている。そしてその皮肉なあざけりの主な対象となるのは、彼自身が演じるみすぼらしい浮浪者である。いかに痛烈かは実際観ていただくこととして、にもかかわらず、カラリと明るく笑わせてくれるものであることは、観たらご同意いただけよう。(確かにギリギリな所もあるが)決して、じめじめとした、厭世的なものに陥っていないのは、彼が心底「人生というもの」を愛していた証拠である。
彼の「この皮肉で矛盾に満ちた人生というもの」にたいする愛情を感じ取ることが出来れば、この映画はあなたの宝物になると思うよ。
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