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[コメント] 少年(1969/日)

澄み渡ったクリアな画面が印象的。少年の心象風景を現わしているようで、物悲しさを誘う。
G31

儀式』のときにも感じたが、基本的には光源の使い方と静謐なカメラワークがこの手の画面効果を生んでいると思う。画面にみなぎる緊張感は、少年の張り詰めた心境を思わせる。少年には、己の全身全霊を持ってしか世界を受けとめる手立てがなく、実際にそのようにして受け止める。子供心にも、自分の置かれた境遇が、他の少年たちと比べ、より過酷であることは理解したろう。だが、全身全霊で世界を受け止めている最中の者には、そこから逃げ出そうという発想の思い浮かぶはずもなく、また実際に逃げ出す術を知らない。少年ゆえのひたむきさといったものが画面から立ち現れて見えるのだ。懐古や郷愁の対象としての少年時代というくくりでなしに、≪少年≫それ自体を描いた作品と言えよう。

75/100(09/09/27記)

(評価:★3)

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