最後まで見ると、今の日本で映画のできる一つの力学が分かるけど。逆に言うと、そこまで、なんでこんな映画が撮られんのかな？と思いながら見てた。タイトルから想像したほど、ちゃらけてはいなかったし、むしろ行儀が良すぎて、くだけた雰囲気を出そうと無理してる感じにみえたほど。

　一つ根本的なクレームを言うと、なれえしょんにもあったように殿様の妻子は代々、“人質”として江戸住まい。つまり殿様ってのは基本、江戸生まれの江戸育ちで、領地に定期的に“赴任”する以外、一生の半分以上は江戸で過ごす。武家だから出自・系譜に対する誇りはあったろうが、領地愛や郷土愛のような感覚、あるいはそこの出身者と自分を一心と見るような感覚がどこまであったか疑問だ。自分を卑下しつつも誇るような言い方で、田舎侍を強調していたが、殿様自身は田舎で生まれ育ったわけではないのだ。

　特に江戸っ子てのは田舎者の訛りにはうるさいから、あんな方言まるだしで喋るわけねえと思う。

75／100(14/08/15記)