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[コメント] 6才のボクが、大人になるまで。(2014/米)

“12年間”を描いた映画を観るのはこの1年で2本目。もう1本は12years a slave(それでも夜は明ける)だが、確かにあっちは年月の長さをあまり感じなかった。
G31

 実際に12年間、毎年欠かさずエピソードが綴られていたのかどうか、見終えた今、不明である。だが長さは充分感じた。そして驚くべきは、複数の子役を使って短期間で撮っていたとしても、これだけのエピソードがあれば、ほぼ同じ効果の映画が出来ていたのではと思えるほど、不思議なくらいに普通の出来栄えの作品に仕上がっていることだ。

 12年も経てば、映画を取りまく環境や撮る技術も進化しているだろうし、なにより撮る側の感性や問題意識が変わっているだろうから、映画として最低限必要なことであるとは言え、しかしだからこそこれは凄いことだと思う。よほど念入りで綿密な準備がなされたのだと思う。

 作品としては、これだけエピソードを積み重ねながら、話が散漫にならず、きちんと一定の収束感を達成している点が良かった。これも脚本がしっかりしていたからにほかならない。また、もちろん収まりきらない話題もあるのだが、これがかえってストーリーにいい具合の発散感を付け加えていたと思う(物語はまとまりすぎていても駄目なのだ)。時の経過とともに脚本が修正されたことの名残かと思うが、実は長期間かけて作ったことの功績は、主演俳優の成長を記録したことよりも、こっちの方が大きいのではないかと僕は思っている。

 もう一つ、見終えてしみじみ思ったのは、育てた子が自分の元を離れていくときの親の気持ちと、一本の作品を撮り上げたときの映画監督の気持ちは、似ているのかもしれないなあ、ということ。

 いずれにしても、見終えて、ご苦労様でしたと労をねぎらってあげたい気持ちにさせられる映画ってのも珍しい。

80/100(15/04/25見)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)緑雨[*] けにろん[*]

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