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[コメント] アメリカン・スナイパー(2014/米)

戦場での善と平和な内地での善は質が異なる。だから帰還する兵士は様々な問題を抱え込む。だがその実、それに対処するためにもベースは人間善なのだ。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 戦争賛美ではなく、人間賛美。

 久々に見直したが、やっぱり面白い。クリス・カイルという伝説的な狙撃主。その一人の男の人物像に迫り込んでいる。この感じが素晴らしい。

 彼は戦場での英雄でありながら、と言うより、戦場の英雄だからこそ、かもしれないが、戦場をこそ自分の居場所と感じていた節がある。4回目の派遣の際など、身内(妻)からの強い反対を振り切って赴いた。派遣と派遣の間の、本国での平穏な日常も描かれる。かつて自分もその中にいた、これぞ守るべきものと自ら思い定めた、平和で安全な日常。だがもはや、自分はこの中に居ても落ち着くことができない。むしろ、自分がいるとその安全を壊してしまいかねないー。

 物語としては、この4回目の派遣で、当初から好敵手とされてきた敵方の狙撃主、“ムスタファ”をやっつけたという構成をしていた。だが結局のところ、この後に除隊を決めたのは、日常の平和と安全に戻ることを自ら決意したからだ。妻や息子たちと生活していくことを自ら選んだのだ。それも、いろいろな行きがかりから、自身のPTSDに向き合うだけでなく、他の兵士たちのPTSD対処の手助けをするという行為を伴として。

 僕はやっぱり彼は勇敢だったと思う。一人の男の勇気ある生きた姿を描いている。そしてその勇気を、観ている僕らにも分け与えてくれる作品。

21/2/24記

◆◆◆以下、前のコメントとレビュー◆◆◆

技巧の振りかざしもあるにはあるが、戦闘シーンなんかは自然でありかつ迫力満点。イーストウッドってこういう作品の撮れる人だったのか。

 元シールズのプロレスラーから名誉毀損で訴えられたりと、実際には映画で描かれるよりさらに複雑な人物だったようですね、クリス・カイルという方は。

 とは言え映画の中では、人物造形は実に丹念になされていたと思います。「俺は敵を殺した理由を神に説明できる。(自分の責任でしたことを、起きなければ良かったと思うような)そんなタイプではない」と明快に言い切りながら、でもその表情にはそう言うことで必死に自分を押さえつけている内面が表れている。まあ、ただ役者(ブラッドリー・クーパー)の演技が下手なだけだったのかもしれませんが。

 戦場で人を殺すという体験を乗り越えて人生を送らなければいけない兵士の内面の問題に誠実に向き合った作品と見ました。

85/100(15/03/01見)

 追記)武器を持って攻撃をしかけてきたら、それが女であろうが子どもであろうが、敵と見なすのは当然と思う。女や子どもを戦闘行為に駆り立てる非道を平気で行う相手と対峙している。“英雄行動”の実態を描いた作品と見ることはできるだろう。

(評価:★4)

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