[コメント] ブレードランナー 2049(2017/米=英=カナダ)
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アンドロイドが産んだアンドロイドと、人造のアンドロイドとの間に、何か違いがあるのか。記憶が人為的に植え付けられるものであるなら、自覚的には何の違いもない、というのがこの映画の用意した一つの答えである。にもかかわらず、なにかとてつもなく違いがあるかのように描く。ここが例えば、この映画の抱える構造的な矛盾の一つだ。この映画にはこうした矛盾が幾つかある。それらをうまい具合に3すくみ4すくみに組み重ね、簡単には解くきほどき難くした。人間とアンドロイドの単純な対立構図にせず、それを利用しようとする第三勢力を立てたところも、本作の上手いところだと思う。
しかし構造というのは物語を成立させるための土台や骨組みだ。重要なのは、そこに乗せて描きたい“何か”がどこまであるかだ。それは別に、「人間性とは何か」という観客への問い掛けなどでなくても、ジメジメして薄暗いディスフューチャー、という世界観であっても良い訳だ。実際、前作もそんな程度の映画だった。それを楽しむ観客は今の時代もいるはずだ。ただ少なくとも、二番煎じである本作には、センセーションがない。
CG合成によるレイチェル(ショーン・ヤング)登場シーンの再現にはさすがにジワッときた。だが一時期のエバ・グリーンのような当代随一の美人女優をヒロインにでも起用しないかぎり、あの頃のショーン・ヤングの不在を埋められる訳がない(←やっぱそこかい)。
75/100(17/11/12記)
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