言うまでもないこと。どこかで言ったと思うこと。ミュージカル映画は、なぜ突然踊り出したり歌い始めたりするのか。そんなことを気にしていたら、ミュージカル映画は楽しめない。

　・・・そりゃまあそうなんですが。もう少し親切に言うのなら。ミュージカルでなきゃ描けない表現、ミュージカルだからこそ描ける表現、そういうものがあるということだと思います。

　そのためには、僕ならまず、楽曲の良さ。一度聞いたら忘れられないメロディラインを持つこと。そんな曲が、1曲だけでなく何曲もあること。

　そしてダンスの躍動感。とりわけ集団ダンスにおけるそれ。個々のダンサーの力量と、その合わさった総合的な構成力。

　こうしたものによって、特に、はやる心、隠しきれない気持ち、押しとどめようもない感情、そういったものが生き生きと活写されるのです。

　本作について述べてない気がします（←気だけじゃない）。僕にこれまでミュージカル映画を好きにさせてくれた作品たちは、本作のオリジナル版も含め、みな僕の生まれる前に撮られた作品ばかりでした。良質なミュージカル映画にリアルタイムで立ち会ったという体験は、本作が生まれて初めて。リメイク作品の意義は、僕にとってはここですね。

(22/6/19記)