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[コメント] 男はつらいよ 望郷篇(1970/日)

額に汗して、油まみれになって働く。寅さんにはそれがとことん似合わないと痛感させられ、苦いんだけど、大笑いしてしまう。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 たとえばマドンナ・長山藍子 が「寅さんはどうして(うちの豆腐屋を)辞めちゃったんだろう」と桜(倍賞千恵子)に聞く。これは彼女だって理由は分かっているのだが、寅の身内である桜からそれを言わせたいのである。桜も、それを聞かれたことは分かっていて、敢えて所詮堅気の生活ができない兄なんですと応える。そういうさりげない配慮というか取りすました感情の遣り取りと見ることは可能と思う(というか素直にそう見た)。

 そうして、兄に堅気の生活を説いた兄思いの桜自身が、兄に堅気の生活を強いることは無理なのだと思い定めていく。本作は冒頭の夢シーンなど、のちのシリーズの路線を方向づけたと評価されているとのこと。こういう観点からも、そうなのかもしれないなあと、しみじみ思ったことでした。

 でも笑っちゃう自分。馬鹿だねえ、あいつは、の側に身を置いたということなのかどうか。

85/100(18/11/3記)

※桜が下の階の人の部屋(大家さん?)で電話を受けている(と分かるシーンがある)。昭和45年当時はまだ電話少かったんだねぇ。隔世。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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