[コメント] 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976/日)
ぼたんほど気持ちのいい、底意のない女もない。こんな似合いの二人は他になかろう。ここでシリーズの完結しないところが国民の欲望なのかしらん。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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全作は観てないが、これ以上の幸福感に包まれる結末が他にあるんだろうか。リリー編は少なくとも3作観ているが、もちろん寅さんとリリーを結ばせてやってほしいという気も持つけど、彼は本質的な部分で寅とは合わないと思う。そのへんの山田洋次の演出は徹底的にロジカルで、残酷なほどだ。
翻って本作はどうか。太地喜和子演じる芸者・ぼたんほど気持ちのいい、底意のない女もいないのではないか。しかも苦労を知っている。寅との息もピッタリだ。結末も、そのまま「そうして二人は夫婦になりました」と字幕が出たとしてもほとんど違和感ないおめでたさ。『男はつらいよ』という寅さんの嫁さん探し遍歴譚としては、ほぼ完結していると言っていい。というより、普通の映画であれば、「ほぼ完結」していれば、すなわち完結しているのだ。どうしてここでシリーズを終えることができなかったのか・・・。
これが国民の欲望というものなのかしらん。
14/09/15記
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