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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎純情詩集(1976/日)

禁じ手だね。ネタがつきてきたんじゃないか。でもさすが。絞りとられるだけは絞りとられる。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 抱腹シーンが多い。流れもよい。最初の“ご帰還”は滞在期間が短く、すぐまた柴又を発つというのはパターンだが、いつになくシリアスな出立。満男の女先生(壇ふみ)による家庭訪問を、自分が台無しにしてしまったことは寅も自覚していた(おいちゃんにその通りの台詞もあり)が、それを、とら屋ファミリーは決して笑い飛ばしてはくれないのだと分かって、去っていくのである。このシーケンスがあまりにシリアスなので、後の柳生のお嬢様(京マチ子)が退院してきたシーンで、医師から「もう病院へ来なくていい」と言われた、との台詞に、僕なんかは、あ、そういうことかなと思っちゃったもの。まあ、そういう病気があんのかどうかは知らないんだけど。でも、昔っから映画とかじゃそんなパターン多かったよな、とか。

 寅は寅なりに真面目なので、もう一度女先生に惚れ直すなどということはしない。ここら辺の潔さも倫理的に気持ちよい。また、さくらから、例えば柳生先生のお母さんに惚れるのなら分かるけどと言われたこともあり、そこへ登場したお母さんに、これが俺の惚れる対象なのかしらと戸惑っている風情も愉快だ。寅が、苦手とする上流社会の雰囲気に気圧されている、という渥美清 の芝居も見事だったと思う。交流していく中で、「明日も訪問していい」とさくらから許しを得たりしながら、“お嬢様”への情を深めていくという展開も良かった。まったく嫌らしさがない。まさに純情詩集だ。

 こんなもんでいいかしら。

80/100(19/02/16見)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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