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[コメント] 盲獣(1969/日)

あんたら、不要なのは目でしょ、目!
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







手足切る前に目エグれよ。

***

男の妄想に付き合う女を映画にする事自体が、男の妄想を増長しそうで危険な気がするが、それはともかく(同時上映で見た)加藤泰の『陰獣』と比べれば、乱歩的妄想猟奇ワールドを自家薬籠中のものとし(薬箱が登場していたのは偶然の符合か?)、破綻をきたさず最後まで見せる増村保造はさすがに凄い。

だが率直に言ってこの手の妄想は、どうしても描きたいというような衝動でもない限り、あまり表に出すものではないと思う(=映画にするようなテーマじゃないと思う、の意)。細かく見れば、盲人の彫刻なのに乳首に着色されていたりとか粗も目につくし、個人的には初めて女を抱くのに失敗を経験しない「男」像にも異を唱えたい(個人的な冗談です)。

一番馬鹿馬鹿しいのは終始二人ともパンツをはいたままのこと。パンツは理性の象徴であり(中略)、いつの時代、どこの世の中にいっても100%表現の自由が保証されるなんてことはありえないわけだから、そんな表現規制を逆手にとって淫靡を描いてやろう的な、(映画)作家の執念みたいなものが感じられない。保造ちゃんが本心からこんな映画を撮りたかったのか疑問。

60/100(03/02/02見)

追記:緑魔子はユマ・サーマンより美しいことを発見した。

追記2:ラストに流れる音楽が、清澄かつ重厚な調べで猟奇の雰囲気を昇華した。グリーナウェイ作品におけるマイケル・ナイマン張りだが、こっちが本家だ。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)水那岐[*] 緑雨[*] sawa:38[*] けにろん[*]

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