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[コメント] キャスト・アウェイ(2000/米)

ほぼ名作。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







“Who knows what the tide could bring.”

今、私がこうしてパソコンをたたいているという極めて私的な行為も、人類の数千年の歴史の上に成り立っているのだな、と。無人島から帰ってきたチャックが、チャッカマン(向こうでどう呼ばれてるのか知らんが)でカチカチと火を点けてみるとき、また、ベッドの上で寝られず、カーペットの上に直接横たわって、部屋の電灯を点けたり消したりしている時、きっとこんなことを考えていたに違いない。「人類はここまで来るのにどれだけの時間がかかったのだろうか」と。

この物語の語るメッセージはおそらく、「無人島で生き残るには火を起こせないといけない」「無人島で火を起こせない奴は死ぬしかない」というようなことではない。おそらく、「人間は、生きていくために必要な能力を持っている」「人間には生きる力がある」と言っている。それは実に根源的で当たり前のことなのだが、現代に生きる我々がついつい見失いがちな事実だ。そんな提言がハリウッドから出てくることがまた驚愕である。ハイタカ氏が『楽園をください』のレヴューで書いているように、ハリウッドが新しい物語を語り始めた、そんな予感を抱かせる作品。

今一つ名作になりきれない理由(私にとって、という意味だが)を考えてみた。やはり彼女(ケリー)の事情を描かないところか。チャックが無人島にいるあいだにケリーに起こった出来事を、きちんと描いておいた方が良かったのでは? そうすれば、もう少し彼女に感情移入できたかもしれないが、でもそれだとラストがまた違った展開になっちゃうかもね。よく分らん。

ところで、お役所仕事はどこの国でも同じなのか、「US mail」の仕事ののろまぶりをFedExの役員であるチャックが揶揄するシーンがあった。その後、無人島で客から預かった荷物箱をチャックが開けてみると、離婚証明書が入ってた、というシーンもあった。“グローバル・スタンダード”アメリカでも、FedExは宅配業者でしかなくて、信書は扱っちゃいけないんだろうか?

85/100(01/06/16見)

(評価:★4)

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