[コメント] チアーズ!(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ワッショイ学園モノに、「“オリジナリティ”を求めてさまよう」現代若者の普遍的なテーマをまぶしたところが、演出のニクさだ。好きな男に「私、どうしたらいいの?」と行動の指図を頼む女の子なんて、アメリカ映画で久し振りに見た。(その後の行動は、個性を重んずるフツーのアメリカ映画のルールに則ったものに戻るけどね。) 金で振付け師を雇うなんて、全米のハイスクールで起きつつある問題を、何気に風刺しているのではなかろうか?
・・・なんてことは実はどうでもよくて、熱狂が熱狂を呼ぶアメリカ社会独特の昂揚感を描く題材として、“チアリーディング”がこれほどまで適したものだとは今まで気付かなんだ。まさに目からウロコ、コロンブスの卵である。
そんな熱狂を「裸の猿」と揶揄するバランス感覚も優れものなのだが、その視点を代表する男の子が、徐々に感化され魅力にはまっていくという構成もうまかったと思う。どんなに苦しいときでも飛びっきりの笑顔を絶やさないことが習性となった女の子たちの、その笑顔の裏の苦悩や煩悶をきちんと描いていたことも活きていた。
場の雰囲気に流されることもあるけれど、ここぞというときには踏みとどまった主人公の姿は、映画という短い時間の中で描かれる理想像としては、これ以上ないものだったと思う。ベストを尽くして勝負を争うライバル同士が「通じ合う(という字幕だったが、何と言ってたか聞き取れず)」瞬間なんか、むしろ近年の萎えたアメリカ映画ではなかなか見つけられないものでさえある。
・・・・・・なんてことすら実は実はどうでもよくて、若くて元気な女の子たちが、はつらつと動き回るのが見られるだけで充分満足で(だいぶオッサン入ってるな)、チアリーディングがスポーツとしてこんなに見応えあるものだということを初めて知り、その迫力を楽しませてもらったことが最大の収穫だった。
85/100(02/02/16見)
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追記:複数のカメラをアクロバティックに駆使して撮った決勝戦の演技よりも、単純な構図で映された地方予選の演技(クローバーズの方ね)の方が衝撃度が大きかったのが、ちょっと残念。ハイ・ジャンプ(でいいのかな?)も全体的な構図の中に配置して見せてくれた方が見栄えが良かったということかも。っていうか、それがチアリーディングを観る楽しみなのでは?(初めて観るわりにはエラソーだね)
追記2:学園物に必須な恋愛テイストは、それが主題ではないのであっさり描かれるだけだったけど、歯磨きのシーンなんて一言の会話もなく交わされる感情のやりとりが秀逸だったし、おかげでラストがキスで締め括られるのだからバッチリだよ!
追記3:採点者として見るなら、両校の演技は、動きの力強さは互角。アクロバティックさとトスの高さはイースト・コンプトン高(クローバーズ)!スペースを上手く活かした展開の見事さはランチョ・カルネ高(トロス)!って感じかな。
追記4:ハリウッド映画だからトロスが優勝するかと思ってみてたけど、うん、いい終わり方だね!「優勝した気分よ」って答えて終わるのもいいな!
追記5:髪の短い女の子は一人も出てこない。
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