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[コメント] ワンス・アンド・フォーエバー(2002/米)

平素は表立って描かれることのない、指揮官の苦悩や葛藤を描いた作品である。情に掉さしているのに流されない、意志の強い映画。
G31

アメリカが実際に戦争やるのが上手いのかどうか知らないが、戦争映画を撮るのは上手い。冒頭5分で観る者の心を制圧する。戦場での兵士の死は悲惨でしかないが、それが銃後に伝えられると悲劇になる。圧倒的な迫力で戦場の恐怖に肉迫する戦闘シーンの合間に、そんな銃後の悲劇や、指揮官の苦悩・葛藤を描いてみせるコントラストが情に触れる。過剰な思い入れを見せない役者たちの演技も、観る側の感情移入を妨げず効果的だ。この映画は、戦場で散っていった兵士たちに対する弔いの気持ちを思慮深く示していたと言えよう。そしてこの感情は、(世間の)一部の人々の意見とは違い、平和を希求する心情と同根だと思う。

優れた映画は、観終えた後も現実に思いをつなげてくれる。この作品からは、大所高所から世界平和や国際戦略を論じる馬鹿らしさを思い知らされた。平和のために自分が出来る事ってささやかなことしかない。でも、それでも意義があると信じる。日本人である自分としてはやはり、靖国に眠る英霊たちに心の中で手を合わせたい。

80/100(03/02/07記)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)よだか[*]

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