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[コメント] 欲望のあいまいな対象(1977/仏=スペイン)

あまり知られてないが「そりゃないぜセニョリータ」はこの映画が出典だ。
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ってのは冗談。ネタバレにしちゃうと、若い人は勘違いしたままになっちゃうかもしれませんね。(笑)

さてさて「欲望のあいまいな対象」とは一体何か?ブニュエル翁のインタヴュー本を読んでみると、「女性」でも「性」でも「精神」でもなく、同時にそれらすべてで、言うなれば「欲求不満」そのものだって…本当最後まで人を食ってますね。

確かにこの映画には様々なメタファーが登場するけれど、先のインタヴューを読んでみると、いろんな解釈(例:血染めのブーケ=処女膜)をやんわりと否定、というか拒否してますな。言うなれば、この映画自体が「欲望のあいまいな対象」であり、「欲求不満」そのものなのかもしれませんね。

つまり、この作品、誰かと語りあうなんて野暮なことせず、ひとり悶々と頭ん中でぐるぐる思いを巡らせ、マチウおやぢの様に「お前の気持ちがわからん」と地団駄踏むのが、映画界のコンチータ=ブニュエル翁のお望みかもしれませんね。(そしたら振り向いてくれるカモ。)

それにしても、スタンリー・キューブリック翁の最後の「欲望」とはえらい違い。

参考図書:『ルイス・ブニュエル公開禁止令』トマス・ペレス・トレント/ホセ・デ・ラ・コリーナ著、岩崎清訳、フィルムアート社、1990年

(評価:★4)

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