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[コメント] ピンポン(2002/日)

…それでも、やっぱり、どうしても好きになれない→
muffler&silencer[消音装置]

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







窪塚洋介

GO』以来、すっかりヤンチャでクールなキャラが人気のクボヅカ君。私には、やっとオケケが生えそろったばかりのクセに、妙に人生悟ったようなことをほざくザマが、どーにもこーにも苦手な存在だった(同類嫌悪?)。よって、この映画も、友達に誘われるまま観に行ったようなもんだが…

冒頭の"Yes, you can fly!"からヤラれた。「ダイヴ」→「落下」→「停止」。

「人生は崩壊の過程である。」と言ったのは、F・スコット・フィ ッツジェラルド。この映画なら、さしずめ「人生は落下の過程である。」と言うべきだろうか。

決して悲観的な人生観ではないと強調したいが、生まれて死ぬまで、人間は“落下”するのみだと、私は思う。そして、その落下を何としてでも食い止め、がむしゃらに飛び立とうとする、必死で自分の翼を追い求める、それが「青春」だと私は思う。(だから、人によっては死ぬまで「青春」もありうる。)

なぜ悲観的ではないか。それは、突き飛ばされて落ちるのではなく、自ら飛び降りる。そこから人生ははじまり、その飛び降りたところから、這い上がり、飛び立とうとするから、それこその人生だから、と私が勝手に思っているからだ。(いささか短絡的で直接的だが、バンジージャンプに魅せられる人がいるのは、ソコにあると思う。)

そして、冒頭のシーンに私がノックアウトされたのは、この落下の瞬間で物語を停止し、そこから巻き戻し、再生できるのは、やっぱり映画しかないんだ、と改めて気付いたからである。

そんなこんなで、約二時間。相変わらずのクボヅカ節と竹中直人の演技に対する居心地の悪さの“ゾワゾワ”と、予定調和ながら私の好物のスポ根路線への感動の“ゾワゾワ”の両方が同居して、どっちがどっちかよくわからなかったのが本音。居心地の悪さの“ゾワゾワ”を、脱法ドラッグの通過儀礼として(?)乗り越えれば、浮揚感あるサイケでポップなスーパーカーの音楽にノセられてトリップ!、といったところか。

正直、クボもタケも夏木マリも喰っちゃったのは、キャプテン大田(荒川良々)!『ベスト・フレンズ・ウェディング』のルパート・エベレットみたく、出てくるシーン、その空気を全部彼が奪ってしまうんだから、スゴい!ARATAもそう、カンペキ窪塚洋介喰ってくれた。

…そして、大甘に★4.75で、★5採点かなと思っていたところのラスト。ガックシきた。

アノ<省略>は、ハズしたつもりだろうが、こちとらカッチリ予想通り。さらに、その後の描き方を見て、最後にやっと気付いた。この映画に物足りないのは、何か。

この映画、「情景」がないのだ。この映画に「景色」はあっても、そこに“想い”がない。

「情景」があるとすれば、チャイナに負け階段に座り込むペコと去っていくスマイル、階段でルービックキューブするスマイルの背中、この二つだが、それだけでは「映画」としてあまりにも淋しすぎる。(ちなみに、絶賛した冒頭の落下シーンだが、あれも「情景」ではない。ちなみに、今思い出した『ウォーター・ボーイズ』にはあった。←拙review参照)

そんなこんなで、鑑賞後、友人と褒めてみたり、ツッコんでみたり、いろいろしたが、それでも、やっぱり、どうしても好きになれないんだよなあ…窪塚洋介…と、結局そこに返る。

★3.75

[with sensei/テアトル梅田/8.23.02]■[review:8.26.02up]

(評価:★4)

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