[コメント] 夏至(2000/仏=ベトナム)
夏の木陰。素肌に着るリネンのシャツ。その心地よさに包まれつつも、ヒトはやはり悩み続けるしかないのか… とりあえず映像の心地よさは、満席のル・シネマで爆睡&イビキぶっこいてたオバチャンによって立証されました。
フィルムを現像液から出したまま映写機にかけているような、瑞々しい映像は健在。ハノイの街も美しい。
前二作をさらに洗練させた感触。相変わらず映像の湿度は高いが、そこに一枚フィルターをかけて、さらりとした後味に仕立てたような。撮影監督リー・ピンビンの効果か?
そのリー・ピンビンのたおやかなPANは、特に兄と妹の部屋のシーンで、なんとも言えない優雅なリズムを作り出している。また、その部屋で流れるルー・リードも、その独特のリズムに貢献。あの部屋はまるで二人の聖域のようだ。特に印象的なのが、二人でダンスを踊りながら、薄暗いキャメラ手前側の部屋から光の差す奥の部屋に移動するショット。あの光の飛び具合にはシビれた。
穏やかで心地よい日常と、各人の抱える悩みとの対比は、「光は影があるから、光でいられる」という言い回しを想い起こさせる。
P.S. トラン・アン・ユンの「濡れた黒髪フェチ」ぶりも健在。これは一種のセルフ・パロディーなのか?
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