[コメント] スラムドッグ$ミリオネア(2008/英)
少年の純粋な思い、これは初恋に似た感情であり、それを貫き通すラブストーリーにグッとやられました。
私は常々、映画はエンターテイメントであればよいと考えていますが、 これはアートであったと感じた数少ない映画です。
アートの定義は難しく、言葉にするのも難しいですが、それ以上に人それぞれなのだと思いますが、私のアートの定義は「見終わった後、自然と体から湧き上がるエネルギーを与えてくれるもの」です。
これは実は友人からの受け売りなのですが、とても印象的な会話でした。 彼はNYでの大学での同級生であり、演劇を専攻していたアメリカ人。 結構ダメ人間というか、自由人といったイメージでした。 一方私はビジネスマネジメント専攻。 接点はほとんどありませんでしたが、ビジネス専攻でもプレゼン用に演劇やスピーチの授業を取らなければならず、興味本位で演劇をとってみました。
ある日、図書館の前でタバコを吸っているときに話しかけられ、 母国や専攻、将来について話をしたのですが、 彼は将来のことよりも今を思いっきり生きたいと言っていました。 そして、演劇の専攻であることを知り、アートは何をできるのか?何なのか?という話になりました。 私が彼に「アートって何だ?形はないけど、どうして人生をささげようと思えるのだ?と私にはアートは全く分からない、エンターテイメントがあれば十分だ」と聞くと、 「ライブでも絵画でもスポーツでも舞台でも何でもいいけど、すばらしい作品をみた後にはなんか体にわきあがってこないか?」と聞いてきました。 確かにそういう感覚になることはあるなぁと思い、「ある」と答えると、 「その感覚は素晴らしくないか?それがアートだよ。」と言っていました。
まさに、言葉では定義できませんが、アートに触れられたと感じられた瞬間でした。 その後の彼とはたまにしか会話の機会がありませんでしたが、今でも鮮明に覚えている瞬間です。
大学を卒業後、彼は何をしているか分かりませんが、願わくばアートの世界で活躍していることを祈ります。 サブプライムローンでレイオフされた証券マンでないことを。
そんな思い出の中で、あの時イメージした体の中から湧き上がってくる感覚をこの映画の鑑賞後に感じることができたので、これはアートだと思うのです。
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