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[コメント] いま、会いにゆきます(2004/日)

この予定調和ぶりは、許せないと思った。
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それにしても、ちわわはひねくれた野郎だ。 自分でもそう思う。

演出としては、面白いといっていいレベル。文句を付けることはできるけど、 文句を付けることに意味をあまり感じない。計算が行き届いているし、面白い。 みなさんが既に書いてくれているので繰り返さない。いくらかの映画を 参考(悪く言うとぱくり)にしているのも分かる。が、それもあえて書かない。

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この映画と同じ印象の映画、何時かみたぞ。 そう『鉄道員』だ。

あれよりこちらの方がはるかに自然に楽しめる映画だと思う。

でも「予定調和」を思わせるところで非常によく似ている。 あちらは一人の男の一生を幽霊が総括してくれるわけだけど、 こちらはどちらかというとむしろ幽霊(本当はそうじゃないけど)の人生の方が総括されるわけね。

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わたしの人生の目的は「愛」だ。これからはただ愛のためにわたしは生きていく 生きることができるというわけね。でもそれでいいのかな?と思う。 人生の意味なんて、ある瞬間に強く感じられ、あとは気にしないで いるものじゃないかしら。それでいいんじゃないかしら。

この映画の澪のように、ある出来事を きっかけに、自分の人生の意味が夫と子どものためにだけあることを 悟って、しかも満足して生きていくってありかたは、むしろ「愛」の 本質をくだらなくしているのではないかしら。

たとえ夫や子どもに奇跡を与えてくれるとしてもね。息子・佑司はこの映画の冒頭で 奇跡といっていたし。(あのシーンは不要と思う)

あー、なんちゅう予定調和に、悪しき永遠回帰。「噛め、噛め。蛇の頭を噛み切れ 噛め!」(ニーチェ)。

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ファンタジーは嫌いじゃない。でもはなしのより所を求めるとき、 しばし、唾棄すべき「観念」に捕らわれてしまうように思う。そんな観念が いやだから、あえてこの点数。誰かが書いていたけど、図書館の本の落書き まるで風が吹くように(実際風が吹いていた)一瞬これまでの自分の人生や 人の愛情が実感されるというある映画の一見あざとい演出は、ずっと良心的 に、考え抜かれたものだと思う。

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でも現代人は、こういう愛の実感を求めているのかな? この映画でそういう 生き方に憧れて、それで実生活とバランスをとってくれればそれでいいのかも しれない。

ながなが書いたのも、俺も結構はまっている証拠なわけで、 この映画、ちょっと頭にとりついて離れないかも。

こまったもんだ。  だからこそこの点数。 

(評価:★1)

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