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[コメント] 二十四の瞳(1954/日)

時代を超える映画でなかったという人もいるだろうが、少なくとも時代を刻む映画ではある。 笠智衆の歌声が結構すきです。
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







確かに文芸物は、映画化するのにいろいろ問題が多い。この映画でも 後半は、苦労しているなと感じた。説明カットが多すぎるので・・・。 それに唱歌で郷愁感を誘う演出は、あきあきくる。これは個人的に嫌いです。 ただし演出としては、この歌声がベースになっていてそれはそれでなかなか 上手い演出ではあった。

自転車とか船とか、交通手段が、上手く活かされていた。小豆島の風景、 瀬戸内海、金比羅さん巡り・・・。時間と場所の移動がやはりこの作品の ポイントか?自転車で小豆島をデコちゃんが走るシーンは、やはり鮮烈 ではある。

と考えると、前半スローペースで時が進んで、後半一気に加速していくという のも演出だったわけだろう。あの後半のスピードが、前半の郷愁を高める わけだ。これは僕たちの人生の追憶と似ている。子供のときは時が ゆったりしているから。

でもこの映画にあきあきくる人もいるだろうと思われるのは、 観る側が戦争ヒューマニズム映画のパターンを 知りつくしているからというのもあると思う。確かに典型的 ヒューマニズム映画としか思えない側面も確かにあるから。 だけど、それで終わらない要素があるとすると、結局は50年代という時代の うちでその20年まえからの時代の姿自体を、物語枠でおせめようとする 映画の姿勢のうちにあると思う。少なくとも、多くのひとにとって、 ある時代を想起させる力はあった。その点に時代を超える力もあるように 思う。

といいつつ、あえて三点。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ぽんしゅう[*]

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