[コメント] 箱入り息子の恋(2013/日)
プラトンの言う恋するひとの「マニア(狂気)」って言葉を、これほど実感させる作品はそうないかも。
もちろん、プラトンなら、最終的にはイデアに向かう知ってことになるわけだけども。
プラトニックラブって言葉には、それなりに本質を突いていて、 愛の対象に向かうことが絶対的に正しいという、理屈では説明され得ない信仰が現れる、そしてその信仰自体は清らかで、真なるものを求めようとする気持ちと通じ合っているってことだろう。かなり強引なプラトン解釈で専門家なら怒るだろうけども。(もちろん、ここでいうプラトンは『饗宴』と『パイドロス』。)
性欲というと、現代人は汚らわしさばかり感じる傾向があるのだが。そしてまたそれも社会的に見ると別の意味で真実なのでしょうけども。それにやはり結婚となると、相手の年収とか社会的地位とか女性の多くは考えますよね。
極度のアガリ症で風采の冴えない(と自分で思い込まざるをえない)、またそれゆえ女性とは世間一般の交際ができない男性と、 目が見えないため世間から離れて生きざるをえない女性。
こういう設定だからこそ、こういうプラトニックな(と書くと肉体関係のない、という別の意味に今ではなりがちだが、もちろんそれではない)恋愛が表現できたのかも。
(ただし、プラトンは視覚優先で、美しい外見を重視する人ではあるのですが。今回は男性のほうは明らかに一目ぼれしてますけども)
この作品では、そういう2人と、家族たちが、コミカルに、つまり距離を置いて表現されています。だからかえって、自分たちのなかのそういう気持ちを冷静に確認できる、そんな映画に仕上がったと思う。
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